第25話 大鍋を手に入れろ! 後編

 「そっちもデカくなったからって、勝てると思うなよ!」

 ハクエーンが巨大な棒を振り上げ襲い掛かる。

 だが、レッド達が乗ったシルバーナが赤青黄の三色の光と同時に衝撃波を発してハクエーンの攻撃を弾いた。

 そして、巨大化したシルバーナの姿は右腕が赤、銅が黄色左腕が青と上半身がトリコロールカラーへと変化した。

 「ムーンユーシャ、参上です!」

 新たな姿、ムーンユーシャが名乗りを上げる。

 その内部では、レッド達が驚いていた。

 「全員同じコックピットでレバー操作か、行くぜ皆♪」

 レッドが叫ぶ。

 「まさか、シルバーナの中がこうなってるとは思わなかったよ」

 ブルーも驚く。

 「何にせよ、あの猿を倒してこちらのお宝を確保ですわ♪」

 イエローが気合を入れる。

 全員が戦いを決意すると、シルバーナのホログラフがコックピット内に現れた。

 「皆さん、今回は私はパイロットじゃないですがよろしくお願いします♪」

 「バレ♪」

 「勿論ですわ♪」

 「機体操作は任せた、武装は任せろ!」

 四人が気持ちを一つにして、立ち向かう。

 

 「しゃらくせえ、吹き飛ばしてやる!」

 ハクエーンが、お返しにと口から突風を噴き出してくる。

 「ブルホーンスピン!」

 レッドが操作するとムーンユーシャの右腕から角が生えて回転して、敵の突風を霧散化させる。

 「汚い口を洗いなヨ~ッ♪ ユーシャインパルス!」

 ブルーがスイッチを押せば、左掌から銃口が開き超高圧の水流が発射される。

 「あば~~~~~っ!」

 水流がハクエーンの顔面に直撃して、その巨体を吹き飛ばす。

 「ちょっとブルーさん、お宝の山の方に敵を飛ばさないで下さいませ!」

 イエローが怒りつつ操作すれば、胴体からアンカー付きのワイヤーが射出されてハクエーンを縛り上げて張り倒す。

 「あはっは♪ ごめんね♪」

 軽く謝るブルー、ユウシャインチーム優勢で勝負が進む。

 

 だが、敵もまだ負けてはいない。

 「まだだ、まだやられねえぞ俺は! ウキ~~~ッ!」

 ハクエーンが雄叫びを上げると三体に分身して襲って来た。

 「はわっ! お猿さんが増えちゃいました!」

 敵の分身に驚くシルバーナ。

 「大丈夫、こっちは四人だ♪ ブルーは武器、俺はシールドで!」

 「バレ♪」

 左右から迫るハクエーンの分身の攻撃をレッドが赤い牛頭の盾を出し、ブルーが銀の薙刀を出して受け止める。

 「ひゃっは~っ♪ 手を塞いだぜ~~っ♪」

 そしてハクエーンの本体が襲って来るのを読んでいたイエローが動く。

 「残念な猿知恵ですわね♪ イエローショックですわ♪」

 ムーンユーシャの胴体から放電攻撃が放たれてハクエーンに直撃する。

 「ばばっばば馬鹿な!」

 しびれながら驚くハクエーン、本体がダメージを受けた事で分身が消える。

 「やりました♪ そろそろ必殺技で決めちゃいます♪」

 シルバーナのホログラフが元気に叫ぶ。

 「よっし、決めてやるぜ♪ デュエルフィールド!」

 レッドが操作するとムーンユーシャが頭部の飾りから光を放ち自分達とハクエーンを特殊な空間に引きずりこんだ。

 「げげっ! どこだここは!」

 ハクエーンが驚く、特殊空間の中の世界は暗い闇の中に星々が煌く宇宙空間。

 「行くぜ、右腕に太陽!」

 レッドが叫ぶとムーンユーシャの右掌から赤く燃える小型の太陽が生まれた。

 「はい、額に銀月!」

 シルバーナが叫ぶと、ムーンユーシャの三日月の飾りが銀色に輝く。

 「太陽と月の力、受けて見よ! サンムーンストライク!」

 レッドが叫び、ボウリングのようにハクエーンに太陽をハクエーンに放り投げる。

 続いて銀に輝く三日月の斬撃が飛んで行き、ハクエーンは太陽で焼かれ月でその身を一刀両断された。

 断末魔の悲鳴を上げる間もなく、ハクエーンはその魂ごと消滅した。

 そして、特殊空間から現実空間に戻るとムーンユーシャはレッド達を降ろして自信を人間形態へと戻した。

 

 「やりました、大勝利です♪」

 勝利に喜ぶシルバーナ。

 「助かったぜ、ありがとう♪」

 変身を解いた輪人が礼を言う。

 「どういたしまして♪ 良かったら、頭を撫でてくれませんか♪」

 シルバーナが輪人に頭を差し出す。

 「おう、それ位なら♪」

 輪人は優しく彼女の頭を撫でた。

 「シルバーナ、うらやましいよ! 輪人、私はハグして♪」

 ヒナミが両腕を広げて、問答無用で輪人を抱きしめる。

 「ヒナミさん、抜け目なさすぎですわ! 私も、抱きしめて下さいませ♪」

 ヒナミと入れ替わりに、有無も言えずヴィクトリアと抱き合う輪人。

 「皆で、仲良くするって良いですね♪」

 シルバーナが微笑む、そんな彼らの下に猛スピードで賭けて来る桃花と純子。

 「皆さん、ずるいです! 私達も混ぜていただきます!」

 今度は桃花が入れ替わり輪人に抱き着く。

 「輪人君、久しぶりにお姉ちゃんって呼んで抱き締めて欲しい」

 「わかったよ、お姉ちゃん」

 最後には純子をお姉ちゃんと呼びながら抱き締める輪人。

 こうして、戦隊一行は再び合流した。


 「取り敢えず、遺跡の入り口とかは壊れてないな」

 輪人が改めて遺跡の洞窟を見る。

 「先輩、目が金色に光ってますがどうしたんですか?」

 桃花が輪人の変化に気付く。

 「あ~、これは遺跡と俺が反応してる証拠みたいなものだから大丈夫」

 そう言って輪人は、先頭に立って洞窟を進んでいった。

 やがて、宿の女将が壁画と言っていた場所に辿り着くと壁画から一行に青い光が放たれた。

 『確認完了、マスターおよび正規ユーザーを承認起動します』

 壁画から音声が流れ横開きに開いた。

 「凄い技術だな、相変わらず」

 純子が入りながら呟く。

 「ジーラベースと同じ素材やシステムですわね」

 ヴィクトリアが壁画の中のピラミッド風な造りに基地との共通点を見出す。

 「ここも拠点にできたら、便利そうね♪」

 ヒナミがこの遺跡も基地として使えないかと想像する。

 「うん、俺の頭の中に音声ガイドが入って来るけど俺だけでなく皆にも頼む!」

 輪人が叫ぶ。

 「ああ、私の頭の中にもガイドの説明が聞こえてきました」

 桃花が叫ぶ。

 「……う~ん、私は大丈夫なので説明スキップで」

 純子が口に出すと、どうやら彼女だけ説明がカットされた。

 仲間達も説明カットを宣言して進んで行き、神器の間と言われる部屋の前に辿り着いた。

 ピラミッドの石壁風な自動ドアが開くと、一行の前に金色に輝く直径三メートルほどの鍋が鎮座していた。

 「これが、ジーラの言っていた大鍋か」

 輪人が黄金の鍋を見て驚く。

 「これなら、皆でたくさんご飯が食べられますね♪」

 シルバーナが喜ぶ。

 「これを新型メカのエンジンにしようとする、ジーラさんの考えが謎ですわ」

 ヴィクトリアは理解が付いて行かなかった。

 「うん、私もわからないからガイドお願い」

 純子が呟くと、彼女の頭に説明が聞こえる。

 「ガイド機能は、何て言ってるの純子さん?」

 ヒナミが純子に尋ねる。

 「……うん、これはゲームである聖杯の類みたいだね」

 純子が汗を垂らしながら答える。

 「聖杯の同類と聞くと、ムーナに奪われなかったのが奇跡ですわね」

 ヴィクトリアがよくもまあと言う顔をした。

 「問題は、これをどうやって持って帰ればいいのかな?」

 ヒナミがどう持って帰ろうかと口にする。

 「それは大丈夫、この遺跡ごとジーラベースに転移させられるみたいだから」

 輪人が虚空に手をかざすとホログラフスクリーンが現れ、日本語で文章が表示されれる。


 「マスター権限使用、転移!」

 輪人がスクリーンを叩くと、遺跡が鳴動してドシンと衝撃音が鳴りひびいた。

 「あわわ! 何が起きたんですか!」

 シルバーナが慌てた。

 「輪人が何か操作したらこうなったよ!」

 ヒナミが叫ぶ。

 「……先輩に、そして私達に何か変化がおきているのかも?」

 桃花が呟いた。

 「こういう風に世界に干渉できるのが、神様になるって事かも知れないね」

 純子も輪人を見て思いを呟く。

 「確かに、まあ私達全員で輪人様と幸せになるなら神様業務も見事にこなしてみせますわ♪」

 ヴィクトリアは前向きに微笑んだ。

 「そうそう、まずはできる事を増やす事からだよ♪」

 ヒナミも同じく前向きに発言した。


 そんな中、自動ドアが開きジーラが部屋の中に入って来た。

 「皆様、お疲れ様でした♪」

 ジーラが仲間達を労う。

 「ああ、ミッションコンプリートだぜ♪」

 輪人がジーラにサムズアップする。

 「ありがとうございます、これで新型メカを作ることができます♪」

 ジーラが笑顔で喜ぶ。

 「新型メカ、楽しみですね先輩♪」

 桃花が輪人に微笑む。

 「ついに十体合体か、感慨深いな」

 純子が新たなロボに想いを馳せた。

 「ムーナも魔王軍も倒せるロボが欲しいね♪」

 ヒナミが願望を述べる。

 「シルバーナさんも、その新型ロボのパーツとして合体されるんですの?」

 ヴィクトリアがシルバーナに聞いてみた。

 「多分、そうなると思いますけど楽しみです♪」

 シルバーナは素直に答えた。


 「じゃあ、仕事も終わったしザーワの街へ戻ろうか?」

 輪人が仲間達に問いかける。

 「は! そうです、大鍋祭りですよ先輩!」

 桃花が思い出して叫ぶ。

 「ああ、私達が採掘した素材で大鍋が修理できるから祭りが開けるんだ♪」

 純子も大鍋祭りの事を思い出して、笑いながら答える。

 「わ~~い♪ それじゃあ、皆でお腹いっぱい食べちゃいましょ~♪」

 シルバーナが大喜びする。

 「皆様、レシピをお持ち帰りいただければ基地でも作れますので宜しくお願いいたします」

 ジーラはメカ作りがある為、残念そうに語る。

 「ああ、わかったぜ♪」

 輪人がジーラに約束すると、一行は遺跡のあった洞窟前に戻って来た。

 「あらら、洞窟の入り口がふさがっちゃってるよ」

 ヒナミが振り替えて呟く。

 「まあ、致し方ない事かと思いますがこれに関しては魔王軍の仕業と言う事にさせていただきましょう」

 ヴィクトリアが酷い事を言った。

 「うん、巨大な猿の魔物と謎の巨人が戦った結果と言う事だね」

 純子がヴィクトリアの提案に乗る。

 「うん、俺が転移させたせいなんだが信用度なら魔王軍の所為の方だな」

 輪人も魔王軍の所為にする事にした。

 

 かくして、敵を倒して目的のアイテムを確保した戦隊一行は無事に開かれた大鍋祭りで牛肉の芋煮を満喫してからガータ国を後にしたのであった。

 

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