第19話  訓練、巨大戦!

 「皆様、ご相談があるのですが宜しいでしょうか?」

 ジーラベースのブリーフィングルームにて、全員に語りかけるジーラ。

 「構わないけど、何かあったのか?」

 輪人がジーラに尋ねる。

 「もしや、ここの所動きのなかったムーナが動いたのか?」

 純子が疑問を呟く。

 「あの白いロボが出るとなると、面倒だね」

 ヒナミがシルバーナの事を思い出す。

 「あれは先輩をパイロットと想定しているようですから、それはないかと?」

 桃花が自分の考えを述べた。

 「まあ、ジーラさんおお話を伺いましょう」

 ヴィクトリアが仲間達を止める。

 「ありがとうございます、相談は巨大戦の訓練についてです」

 ジーラが本題を話し出した。


 「訓練か、確かにメカが八体に増えたから連携とかパターン違いの合体とか試せる

んだよな? 俺はやるぜ♪」

 輪人は了解した。

 「そうだね、今の所は表の仕事も裏の仕事もないからね」

 純子も頷く。

 「私も構わないけれど、ジーラは信仰のパワーは足りてるの?」

 ヒナミが気になる所を尋ねる、この世界におけるユウシャインのパワーソースとなっているのはジーラだからだ。

 「確かに、ジーラさんに倒れられてはこちらも終わりですしね」

 ヴィクトリアも心配する。

 「その事ですが、皆様の活躍のお陰で信仰の力が集まるようになり使える力の範囲が増えて参りましたので今回の訓練のご相談となったのです」

 ジーラが笑顔で語る。

 「そっか、俺達の活動が力になってるなら何よりだ♪」

 輪人がジーラに微笑みかけるとジーラが頬を染めて全身から金色のオーラを放つ。

 「輪人様の笑顔も私に直に力をいただけるので、私達が揃っていれば訓練も問題なく行えます♪」

 ジーラが輪人に近づいて彼の手を握り、鼻息を荒くして語る。

 「ジーラさん、その先はストップです!」

 桃花が止めに入る。

 「抜け駆けは駄目だよ~!」

 ヒナミもディフェンスに回る。

 「まずは、その手を離そうか♪」

 純子はジーラの背後を取った。

 「ジーラさん、それ以上はいけませんわ♪」

 ヴィクトリアも窘める。

 そして仲間達も輪人に寄って来て、輪人に握手を要求したのであった。

 「わかったから、お前ら暴れるな~!」

 輪人が叫んで全員が落ち着く。

 

 「まあ、訓練はやるとして場所とかはどうする?」

 ひと悶着を終えた一同は食堂に場所を移して、エレトやケトを交えて軽く飲食を挟みながら話し合いを続けた。

 「あらあら、勇者ちゃん達は元気ねえ♪」

 エレトが巨大な黄色いケーキをテーブルに乗せる。

 「エレトちゃん、ケーキ大き過ぎじゃない?」

 ケトが驚く。

 「皆と食べるのが久しぶりだから、頑張っちゃった♪」

 エレトが微笑んでごまかした。

 「おお、エレトさんのケーキだ♪」

 輪人はケーキを見て喜んだ。

 「食べがいがありそうなケーキですね、味は一体♪」

 桃花もケーキに目が釘付けになる。

 「香りからすると。カボチャかな♪」

 純子もケーキを見つめた。

 「ねえ、先にケーキを食べてから訓練の相談しない?」

 ヒナミが欲望に正直な事を言い出す。

 「ヒナミさんに同意しますわ♪」

 ヴィクトリアがヒナミに同調した。

 「美味は皆が笑顔になる良き文化ですね♪ では、皆でいただきましょう♪」

 ジーラが微笑みながら告げると、全員がいただきますと言ってからケーキを食べ始めた。


 「エレトさんの料理って、美味い上に何か食うと力が付く感じがするな♪」

 輪人がケーキを味わいながら感想を言う。

 「……はむはむ、確かに食べると疲れが取れたり元気が出てきます♪」

 桃花が輪人の意見に同意した。

 「うん、ご飯もおやつも私達に力を耐えてくれているのが感じられるよ♪」

 純子もエレトの作ったケーキを食べて肌の艶が良くなる。

 「神様の料理だから御利益を受けてるんだよ私達♪」

 ヒナミが辺りに近い感想を言う。

 「私も、なんだか体が暖まってまいりました♪」

 ヴィクトリアも、自分の体の奥底から力が湧いて来る感じがしていた。

 「嬉しいわ♪ 皆に喜んで元気になって欲しいからパワーを込めて作ってるの♪」

 エレトが素直に喜ぶ。

 「ケロケロ~♪ 皆の健康は大事だから、私も食材にパワーを与えてるの♪」

 ケトも嬉しそうに微笑む。

 「私達の目標の為にも、皆様には食事で力を付けていただいてます♪」

 ジーラが笑顔で語る。

 「ムーナに立ち向かうには、勇者ちゃん達には最終的には神の域にまでレベルアップしてもらわないと行けないから強化の効果のお茶も飲んでね~♪」

 ケトがチャイのようなお茶を戦隊達に振舞う。

 「神の域ってのはわからないけれど、それがこの世界や人々を助ける為なら俺は受け入れるぜレベルアップは大事だからな食って寝て成長するぜ♪」

 輪人は素直に受け入れてお茶も飲んだ。

 

 そうして、彼らが食事による無自覚なレベリングを終えてから話を再開する。


 「まず今回は、陸戦と言う事であの平原で全機出撃で行いましょう」

 ジーラが訓練場所の提案をする。

 「俺達は構わない、頑張ろうぜ♪」

 

 輪人が提案を受けいれると相談は終わりとなった。


 そして、平原に八台の巨大マシンが勢ぞろいした。

 「よし、まずはウィングダイユーシャの六体合体で行くぜ♪」

 まず五人が、マシンをダイユーシャに合体させる。

 「参ります、有翼合体っ!」

 次にジーラが操るゴールドファルコンが頭部と胴体を分離、ファルコンの頭部が

ダイユーシャの胸部に残った胴部が変形してランドセルを背負うようにダイユーシャの背部と合体し金の翼を持つ巨人ウィングダイユーシャが完成した。

 「「完成、ウィングダイユーシャ!」」

 六人が一斉に叫んでウィングダイユーシャが拳を突き出すポーズを構えた。


 「ケトちゃん、私達も合体しましょ~♪」

 ホワイトタマスの中からホワイトがグリーンに連絡する。

 「ちょっと、こういう時はグリーンって呼んでケロ~♪」

 グリーンが笑いながら答えて合体シークエンスに入った。

 「直立変形、スタンドア~ップ♪」

 白い河馬型の巨大メカが上半身を持ち上げて立ち上がる。

 河馬の頭が胸にスライドして人型ロボの頭部が出てきた所で、緑の蛙型メカのグリーンフロッグがジャンプして空中で頭部と胴体が分離した。

 グリーンフロッグの頭部がホワイトタマスの兜になると、残った胴体が左右に分離し巨大なカエルの手となりホワイトタマスの両手と合体した。

 「「完成、フロッグユーシャ♪」」

 グリーンとホワイトが声を揃えて叫ぶ。

 かくして、蛙の頭と両手を持った白い巨大ロボットが完成した。


 「んじゃ、模擬戦スタートだ♪」

 「ケロケロ~♪ 負けないわよ~♪」

 レッドとグリーンが連絡を取り合い、二体の巨人は模擬戦を始めた。

 

 「ホワイト、先手必勝よ♪」

 「オッケ~♪ タマスストリ~~~ム♪」

 先手を取ったのはフロッグユーシャ、胸の河馬の頭が開き水流を発射する。

 「上昇回避します!」

 一方、ウィングダイユーシャはゴールドが操作をして空へと飛び上がり水流を回避した。

 「マジか、ダイユーシャが飛んだ!」

 レッドが驚く。

 「地球ではなかったよ!」

 ブルーも驚く。

 「先輩、皆さん! そ、操作をしましょう!」

 ピンクも初めて機体が空を飛んだことに驚きながらも動こうとあがく。

 「ヒナミさん、ライナーミサイルを撃って下さいませ!」

 イエロ―がブルーに叫ぶ。

 「アイアイ! ライナーミサイル発射だよ!」

 ウィングダイユーシャの右腕、列車の先頭部分が左右に開き赤色のミサイルが発射される!

 「来たわね♪ お返しよ~♪ フロッグトルネ~~~ド♪」

 地上のフロッグユーシャは、両手を団扇のように仰いで竜巻を起こして迫るミサイルを逆に相手に送り返して来た。

 「行けない、超次元ブレイクだ!」

 ブラックが膝のドリルを回して、空間を割り次元の穴にミサイルを誘導して事なきを得る。

 「グリーン達、流石だな」

 レッドが感心する。

 「ええ、頼もしい眷属です♪」

 ゴールドが誇らしげに答える。

 「ですが、敵に回せば脅威でしてよ!」

 イエロー突っ込む。

 「そうですよ、模擬戦であろうと負けるわけにはいきません!」

 ピンクが吠える。

 「その意気だピンクちゃん、突っ込もう!」

 ブラックがピンクに同意する。

 「よっし、じゃあウルフバイトだ!」

 レッドが叫び、地上へと急降下する。

 「お任せ下さい、ウルフバ~~~~イトッ!」

 ピンクの操作で、ウィングダイユーシャの左腕の狼の頭が開き牙を剥く。

 

 「来たわね♪ ホワイト、こっちも口を開けて♪」

 「わかったわ♪ タマスファングブーメラン♪」

 フロッグユーシャは、再び胸の河馬の頭を開けるとこちらも牙を出して射出した。

 「ピンクちゃん、口を閉じるんだ!」

 ブラックが飛んで来た河馬の牙の狙いを察するも遅し、口を開けた狼ヘッドにの中に河馬の牙が嵌り閉じれなくなる。

 「やばい、こうなったらライナーパンチで頼む!」

 レッドがブルーに頼むもすべてが遅かった。

 「遅いわよ~♪ フラッグサンドで挟んじゃうから♪」

 ホワイトが通信で技名を言い、フロッグユーシャの両手が巨大化してウィングダイユーシャをバシッと挟んで捕らえたのだった。

 こうして、模擬戦一本目はウィングダイユーシャが負けてしまったのであった。

 

 「皆ごめん、一本取られた!」

 仲間達に謝るレッド。


 まず一勝負を終えた後、全員が機体から降りて話をする。


 「大丈夫だよレッド君、悔しいが負けて覚える事もある」

 ブラックがレッドに語りかける。

 「一度の負けを苦にしては行けませんわ、稽古あるのみですわよ!」

 イエローもレッドを励ます。

 「ええ、グリーンとホワイトには教えを授かったと思いましょう」

 ゴールドも前向きなるように語る。

 「大丈夫だよ、次は技の間合いもタイミングもきちんと計ってやるから♪」

 ブルーがガッツポーズをする。

 「わ、私も次はあんな不覚は取りませんから!」

 ピンクも気合を入れる。

 「レッドちゃん自身も、機体の操作だけでなく自分のパートでの攻撃も入れて見ましょうか♪」

 グリーンがアドバイスをする。

 「そうね、パートごとに仲間に頼むのも大事だけれどレッドちゃんの牛さんももっと使って見たらいいと思うわ~♪」

 ホワイトもレッドの動きが足りないと指摘をする。

 「ああ、わかったぜその点も踏まえてもう一本頼む!」

 レッドが仲間達に頼むと、仲間達は頷き全員が機体に乗り込む。

 そして彼らは、仲間同士の巨大ロボットでの模擬戦を再度行うのであった。

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