第7話 食事と追加戦士

  かくして、魔王軍との初戦を乗り越えたユウシャイン。

 守った村の住民達に挨拶をして面通しをしておいた。

 「さて、この世界について色々調べないとな」

 基地に帰って来てブリーフィングルームで輪人が呟く。

 「その前に、まずは皆でご飯にしようか♪」

 純子が食事を提案する。

 「賛成♪ 皆で食堂へ行くよ♪」

 ヒナミが純子に同意する。

 「私も、お腹が空きました」

 桃花も二人に賛同する。

 「この基地の食堂、色々充実していて美味しですわよ♪」

 ヴィクトリアも輪人を誘った。

 「輪人様、是非今世界の料理をご堪能下さいませ♪」

 ジーラも食堂へ行く事を勧める。

 「わかった、じゃあまずは飯からだな♪」

 輪人が席を立ち仲間達について行った。


 「学校の体育館位の広さかな?」

 輪人が抱いた食堂の感想はそんな感じだった。

 褐色肌の人達、ジーラシアンで構成されたスタッフが食事を楽しんでいた。

 スタッフ達が輪人達に気付くと歓声が上がった。

 「お、ジーラ様と勇者の皆様だ♪」

 「勇者様達、宜しくお願いしま~す」

 「ジーラシアに栄光を~♪」

 スタッフ達は勝手に盛り上がりだした。

 「えっと、一応歓迎されてるのかな?」

 「はい、当然です♪」

 「え~っと、こちらこそよろしくお願いします!」

 輪人がスタッフ達に一礼すると、またもや歓声が上がる。

 

 「我らに礼を返して下さるとは、流石は勇者様達だ♪」

 「ああ、傲慢なムーナとその民とは違う」

 「我らは勇者様達の為に、勇者様達はジーラ様と我らと世界の為に♪」

 スタッフ達は、何か炭酸飲料らしき飲み物で乾杯を始めた。


 「お世話になる人達が明るく過ごせてるのは良いな」

 「そうだね、地球でもスタッフの人達には支えられて来たし」

 「頑張ろうね♪」

 「先輩、何を召し上がりますか?」

 「ええ、メニューは豊富ですわよ♪」

 「そうそう、ご紹介したい方がおります♪」

 席に着いた一行がメニューを見る中でジーラが呟く。

 「え、誰?」

 輪人が気になって尋ねてみた。

 「はい、私の眷属神達です♪」

 ジーラが笑顔で答える、輪人がどんなのだろうと思っていると

どこからか愛らしいがケロケロした歌が聞こえて来た♪

 「ケロケロ♪ ケロケロ♪ ケロケ~ロ♪」

 歌の聞こえる方に輪人が目を向けると、長い黒髪を後ろで束ねた緑色の肌

の綺麗なお姉さんが現れた。

 彼女の服装は立派な胸と引き締まった筋肉を誇示する金のビキニアーマーだった。

 「ケロケロ~♪ 初めまして勇者ちゃん達、私の名前はケトよ♪」

 笑顔で自己紹介をするケト。

 「彼女は蛙の女神で、医療と安産と歌を司ってます♪」

 ジーラがケトの権能を開設する。

 「水中戦も得意よケロケロ♪ 医務室がメインのユウシャグリーンになるわ♪」

 いつの間にか、ケトもユウキブレスを左手首に装着していた。

 

 「また新たな女性が増えました!」

 戦慄する桃花。

 「日本の薬局で、蛙のマスコット見たよ♪」

 カエルと医療と聞いて日本の薬局を連想するヒナミ。

 「水中戦か、頼もしい仲間が増えたな♪」

 素直に喜ぶ純子。

 「そろそろ二号ロボとか出て来そうですわね」

 ヴィクトリアはメンバーが増える事でロボも増えると思った。


 「お食事なら私もご一緒するわ♪ エレトちゃ~ん♪」

 ケトが厨房に向けて誰かの名を呼ぶ。

 「は~~い♪」

 すると、おっとりした女性の返事が来ると同時に赤い肌に豊満でがっしりした

体を白いコックコートで包んだ可愛いらしいカバ耳のお姉さんが料理を載せた

カートを押しながらやって来た。

 「勇者ちゃん達に、ジーラ様もケトちゃんもご飯よ~♪」

 エレトと呼ばれたカバ耳のお姉さんが皆に豆のカレーを配って行く。

 「彼女はエレト、カバの女神で家庭の神で食堂の料理長で保母です♪」

 ジーラがエレトについて語る。

 「私は戦うのは好きじゃないけれど、お家を守る為なら頑張るわ♪」

 エレトもユウキブレスを身に付けていた。

 

 「えっと、エレトさんは何色ですか?」

 輪人がエレトの変身後の色を聞いてみた。

 「私は、ホワイトね♪ 他にご注文はいかが?」

 エレトが答えると同時に注文を聞いて来た。

 「俺は、牛の玉葱炒め♪」

 輪人が注文する。

 「キノコとモロヘイヤのパスタをお願いします♪」

 桃花は麺類を頼む。

 「私はヨーグルトで♪」

 「私も向日葵のコーヒーをお願いします♪」

 ヒナミと純子は飲み物だ。

 「私は、川魚の握り寿司をおまかせで♪」

 ヴィクトリアは寿司をオーダー、皆の注文を聞いたエレトは

 「それじゃあ、作るのでお待ちくださいね♪」

 とカートと一緒に厨房に戻って行った。

 「八人か、ジーラやケトさんとエレトさんもロボがあるのかな?」

 輪人が想像してみる。

 「それは後のお楽しみね♪」

 ケトが微笑んだ。

 「私達のロボットは、もうしばらくお待ちください♪」

 ジーラも微笑みながら答える。


 しばらくして再びエレトがカートに料理と飲み物を載せて来た。

 「お待たせ~♪ カレーのお替りもあるから良かったら食べてね♪」

 エレトは配り終えると、再び料理を配った後に厨房へと戻って行く。

 輪人達は異世界の素材から作られた地球の食事を堪能した。

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