第5話 異世界初戦闘 前編
「……ちょっと待て、ここ何処だよ?」
輪人は割り当てられた個室ではなく金で出来た豪華なベッドの上で目覚めた。
服は着ている事を確認する。
「輪人様、おはようございます♪」
ジーラがパンとスープと肉入りサラダが載ったトレーを持って現れた。
「おはようじゃない事態なんだけど?」
「大丈夫です、まだ輪人様は清い身です♪」
「いや、どういう事安心したけどしたくないよ!」
「他の皆様が輪人様の個室に夜討ちをされたので避難させていただきました」
「輪人様、お早目のお覚悟をお願いいたしますね♪」
「わかった、責任取って全員と結婚するよ」
「はい、言質いただきました♪ 他の皆も喜びますよ♪」
「あ、やべえ事言っちまった! 他の皆って、まだいるの?」
輪人は自分がとんでもない発言をした事に気付いた。
だが、腹が減っては戦はできぬと思い差し出された朝食を食べる事にした。
「先輩、おはようございます♪」
ブリーフィングルームに輪人がジーラとやって来ると皆が揃ていた。
「おはよう、輪人君♪」
純子が頬を染めながら挨拶して来た。
「リント~♪ ブエノスディア~ス♪」
ヒナミも元気に挨拶をする。
「輪人様、昨夜はして礼いたしました♪」
ヴィクトリアはお淑やかに謝る。
「……いや、良いけどさあ」
輪人は流す、何かヤバい予感がする。
「先輩、やっぱり私達の事をキチンと考えてくれてたんですね♪」
桃花の言葉に吹き出す輪人。
「げげっ! もしかしてさっきの言葉、皆聞いてたのかよ!」
輪人が頭を抱えて円卓に突っ伏した。
「今後はこちらで暮らして、地球へはたまに里帰りすると言うのがベストかな?」
純子がリアルなライフプランを考え出す。
「皆、まずは戦隊としてこの世界をどうにかする事を考えようぜ!」
輪人が将来の事を棚上げして、現在の事に意識を持って行こうとする。
「そうですね、まだ見ぬ追加の方達も気になりますし」
桃花が空いている席を気にする。
「そうだね、明るい未来の為に今を頑張ろう♪」
純子は半分ライフプラン中だった。
「メキシコのばっちゃに曾孫抱かせて見せるよ♪」
ヒナミも未来に想いを馳せていた。
「我が家は、弟や妹がおります故にまあ問題ないかと♪」
ヴィクトリアは余裕だった。
「皆様、この世界で明るい未来を共に紡ぎましょう♪」
ジーラが女子達を纏めるべく言葉を発した。
「「オ~~~♪」」
それに同意する女子達。
「うん、俺は頑張るぞ」
輪人の外堀は埋められつつあった。
そんな中、円卓の中央から赤いエネルギー球が浮かび上がった!
「皆、この世界での初出動だ!」
輪人の叫びに全員が戦闘モードになる。
「皆様、着席を! 円卓の席が搬送マシンのシートになります!」
全員が椅子に座ったまま落下して行き、ガチャンと椅子が何かにハマる。
「え? 船なのこれ?」
輪人だけが驚く。
「はい、出航ですっ!」
ジーラが叫ぶと基地のゲートが開き、金色に輝くカヌーに似た船が空を飛び発進した。
荒野を駆けるは白骨の馬に乗る黑い髑髏の鎧に身を包んだ騎士に率いられた魔物達。
それは、髑髏の鎧の騎士以外は闇を纏った白骨の部隊であった。
「ハッハー! この先の村を襲うぞ~♪」
騎士が叫ぶ先にあるのは、石の壁で囲われた数件の家と畑がある小さな村だった。
だが、魔族の行く手を遮るべく空から現れた黄金の船がビームを放った!
目の前の大地が爆ぜた事で髑髏の騎士は「止まれ~~! 敵だ~~っ!」
と叫び手下の魔族達は急停止したため全員が転倒した。
土煙が晴れると、髑髏騎士達魔族の部隊の前に六人の男女が現れた。
「そこまでだ、魔王の手下ども!」
「太陽神ジーラの名の下に、貴方達を討伐します!」
「魔族、何か戦闘員に似てるよ?」
「悪の組織という意味では同じだね♪」
「皆さん、行きますよ♪」
輪人達、ユウシャインであった。
「き、貴様らはもしやムーナではなく女神ジーラと勇者共か?」
髑髏騎士が叫ぶ。
「だが、そこの赤い小僧はムーナの勇者だと情報があるぞ?」
髑髏騎士が手下の戦闘員から手配書を見せられる。
「知るか、俺はジーラの勇者だ!」
自分の言葉にジーラが照れている事にも気付かず叫ぶ輪人。
「先輩、変身ですよ!」
桃花が嫉妬して叫ぶ。
「よし、六人そろってユウキチェンジだ♪」
輪人達がユウキブレスを胸の前にかざし、スイッチを入れる。
「ぐお~~っ! これが古代神の力か、動けんっ!」
全員の体から虹色の光が発せられ、魔族部隊の動きを止めた。
虹色の光が消えると、そこには赤青黄桃黒金と六人のヒーローがいた。
「太陽パワー、ユウシャレッド!」
「海洋パワー、ユウシャブルー♪」
「大地パワー、ユウシャイエローですわ♪」
「闇夜のパワー、ユウシャブラック」
「狼パワー、ユウシャピンクです!」
「女神のパワー、ユウシャゴールド!」
各員が名乗りを上げポーズを取る。
それを見た魔族部隊は、全員盾を構えて防御態勢を取ていた。
「くそ! 怪しい戦いの構えと奴らの神のオーラで下手に動けん!」
髑髏騎士は悔しがった。
「勇気を輝かせて悪を討つ!」
「「勇輝戦隊ユウシャイン!」」
レッドの語りから全員でチーム名を名乗る、勇輝戦隊ユウシャインの異世界での
初名乗りであった。
「ええい、小賢しい!
ユウシャインの名乗りが終わると同時にスカルマも名乗り戦闘が始まる。
「オ~ラ~♪ 死者の日のお祭りみたいね♪ ブルースマッシャーよ♪」
ブルーが青い二丁拳銃を取り出してぶっぱなすと、野球ボール大の水弾が
乱射された!
最初に突っこんで来た白骨戦闘員達は、避ける事が出来ず砕かれて行った。
「私は、イエローロッドロンドですわ♪」
イエローは釣り竿型武器のイエローロッドを振り、戦闘員をひっかける。
「そ~れ、これが死の舞踏ですわ♪」
次に引っかけた戦闘員を吊り上げて振り回し、他の戦闘員達を蹴散らし出す。
「皆はしゃぎ過ぎだぞ♪ ブラックサーベルッ!」
ブラックはサーベル状の武器を振るい、確実に戦闘員を切って行く。
「ピンクとゴールドはフォロー宜しく、レッドガントレット♪」
レッドは両腕に指の部分だけ銀色の大きな籠手を装着し、スカルマへと向かう。
「わかりました先輩、ピンクレガースッ!」
ピンクは両足に爪先が狼のような銀の爪になっているピンク色のレガースを
装備してレッドを追って駆け出した。
「了解です、ゴールドショベルッ!」
ジーラが取り出したのは、長い杖の両端に向日葵の花と太陽を象った刃の付いた
「げげえっ! 他のは知らんがあれは古代神の神器だっ!」
レッドやピンクより女神自身であるゴールドに恐怖するスカルマ。
この後、戦隊の大暴れとスカルマの悪あがきが交錯する事になる。
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