第3話 戦隊、帰還できず

  「ち、地球じゃねえ~~~っ!」

 「か、帰れてませ~~~んっ!」

 「馬鹿な! 私の超次元斬りが失敗しただと?」

 「な、何か恐竜みたいなのが飛んでるよ!」

 「どこかの草原、遠くにはお城ですわね?」

 「おそらく、ムーナの仕業です」

 ダイユーシャが転移したのは地球ではなく何処かの地域。

 だだっ広い草原の上に巨大ロボットがそびえ立つ形になっていた。

 「空間センサーがアースではなくアナザー、異世界のままです」

 混乱から正気に戻ったピンクが、機内のセンサーを確認する。

 「皆、もう一度次元を越えて見ようここにいたらまずい気がする!」

 レッドが背後に悪寒を感じて叫ぶ。

 「皆様、私がひとまず安全地帯へご案内します!」

 ジーラが再びセンサーに光を当てて座標を設定する。

 「超次元パンチッ!」

 レッドがレバーを操作して次元の壁を砕き、、機体を異次元に飛び込ませた。


 パリンと空間を割って、ダイユーシャが出た場所は、砂漠の上に立つ富士山並み

の超巨大黄金ピラミッドが立つ場所だった。

 「今度はエジプトもどき?」

 ブルーが呆れる。

 「先ほどの神殿よりはマシですわね」

 イエローが呟く。

 「皆様、私の支配する空間ジーラシアへようこそ♪」

 ジーラが笑顔で歓迎の言葉を述べる。

 「ふむ、先ほどの女神よりはまあ安心かな?」

 ブラックは何かを納得した。

 「取り敢えず、分離してお邪魔させていただきましょう」

 ピンクが呟く。

 「そうだな、エネルギーも減ってるし」

 レッドも納得し全員がダイユーシャを個別マシンへと分離した。

 イエローはクレーン車、ブルーは新幹線、ブラックはドリル戦車と

乗り物なのだがピンクは狼、レッドは牛と動物型だった。

 「麓にも街があるけど入って大丈夫かな?」

 レッドが今更ながら不安になる。

 「問題ありません、少々出ますね♪」

 ジーラが瞬時に転移してレッドバイソンの頭上に乗る。


 「ジーラシアの民達よ、我らの勇者の乗騎達を迎え入れるのです!」

 ジーラの叫びに褐色肌の住民達が大名行列に土下座するように

平伏してユウシャインのマシンの進行を見送った。

 「なし崩し的に私達、ジーラさんに着く事になってません?」

 ピンクが不満を漏らす。

 「レッド、輪人君が約束してしまったし友好的な相手を減らすのは悪手だよ」

 ブラックが通信でなだめにかかる。

 「本当、レッドは人たらし過ぎるね」

 ブルーも呆れる。

 「まあ、そんな人たらしなレッドだからこそ私達が纏まってるのですわ」

 イエローは諦めた口調だった。

 「いや、俺一人で来るはずだったんだけど?」

 レッドがちょっと待ってという口調でもらす。

 「却下です、私達は先輩から離れませんよ!」

 ピンクが怒り、他のメンバー達も同意する。

 「死であろうとも私達を分つことはできないんだよ♪」

 「勝手に死んだら、私達で死者の国に殴り込みするよ!」

 「貴方様は私達戦隊の共有財産ですわ♪」

 「いや、皆好き勝手に言うなよ!」

 レッドは仲間達の愛の重さに参りかけていた。


 そんな掛け合いをしつつ、戦隊のマシンはピラミッドへと辿り着く。

 「ゲートオープン!」

 と、ジーラが叫べばウィーンと入り口が開きカタパルトのような通路が見えた。

 「何か懐かしい感じだな、ユウキベースみたいだ」

 レッドが呟く。

 「というより、昔の日本の戦隊の基地っぽいよ?」

 ブルーも感想を漏らす。

 「それより、私達のメカは何処へ運ばれるんですの?」

 イエローが疑問を口にする。

 「恐らく、格納庫と見た」

 ブラックが何かを感じ取って呟いた。

 「正解です、皆様のメカはひとまずジーラベースの格納庫へご案内します」

 ジーラの声が各自の機体から流れる。


 「もしかして、ここはジーラさんが俺に用意してくれた基地?」

 レッドが思った事を口にする。

 「むむっ、先輩を引き抜いて新戦隊結成を目論んでいたのですか?」

 ピンクも気付く。

 「そのようだね、彼女がレッドが育てていたヒマワリである以上幼少期に見ていた

テレビ番組をモチーフにここを作ったんだろう」

 ブラックが正解を言い当ると同時にゲートが開き、マシンは格納庫に付き自動で

それぞれのマシンがハンガーに振り分けられた。

 「皆様、下りていただいて大丈夫です♪」

 ジーラの声に戦隊はマシンから下りた。

 「良し、変身解除っと」

 レッドが左手首のユウキブレスを操作して赤ジャージ姿の輪人に戻る。

 「先輩っ、迂闊に変身を解いちゃ駄目ですっ!」

 ピンクも変身を解くとピンクのショートボブの巨乳メガネっ子になる。

 来ている服は、白地にピンク色のラインが入ったジャケットとロングパンツと

戦隊の制服だ。

 「桃花ちゃん、そんなカリカリしちゃだめだよ♪」

 黒いラインの制服を着た、前髪をセンター分けに垂らし後頭部は

ハーフアップシニヨンにした紫髪の凛とした顔つきのお姉さん。

 「オ~♪ 純子さん、相変わらず皆のマドレね♪」

 青ラインの制服を着た褐色肌に茶髪のお団子頭な青い瞳の美少女が

 純子に背中から抱き着く。

 「……まったく、ヒナミさんも皆様はしゃぎすぎですわ♪」

 黄色ラインの制服を纏った金髪縦ロールのお嬢様が最後に並ぶ。

 「ヴィクトリアは、相変わらずドリルみたいな髪だな」

 イエローことヴィクトリアを見て輪人が呟く。

 「貫くより釣る方が得意ですわ♪」

 とヴィクトリアは輪人に笑顔で返す。

 

 こうして、異世界の基地に素顔の戦士達が出そろった。

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