第2話 レッド救出作戦!

  「……痛たたた、今度は何処だ? 神殿か?」

 地球で仲間や異世界の女神とひと悶着を興した輪人。

 巨大な手に掴まれたと思ったら、見知らぬ天井だった。

 周囲を見回し自分が今いるのは何処かの神殿の広間だと認識する。

 「初めまして、異世界の勇者殿♪」

 長い金髪に白い肌、豊満な胸をギリシャ風の白いドレスで包んだ美女

が玉座の上から語りかける。

 相手は輪人より上の場所にいるのその姿が見えた。

 「え~っと? 初めまして、居住まいは正した方が良いんですか?」

 何となく自分が時代劇の庶民の位置にいると思った輪人。

 「構わぬ、わからない事はきちんと聞くとは美点ね」

 取り敢えず、その場にとどまる輪人。

 「ふむ、判断力も良いし顔も愛い♪ 我が名はムーナ、そなたを導く女神よ♪」

 「もしかして、この世界に危機が迫っているとかですか?」

 輪人の頭の中で勇者と女神と聞いて繋がった言葉を言う。

 「そう、我が治めるこの世界の危機を勇者として解決して欲しいの♪」

 ゲームなどで聞くお約束の台詞を言うムーナ。

 「そなたの活動は全面支援し、達成の暁には我が夫として迎えよう♪

勿論、拒んでも我が夫として新たな勇者の父とするゆえに永遠に手放さぬ♪」

 ムーナが獲物を狙う獣の目で輪人を見つめる。

 「ちょっと待て、俺の事変な所で見込み過ぎじゃね!」

 美人にそんな事を言われてときめかないわけでもないが怖いと感じた輪人。

 「そなたこそ我が夫に相応しい男児、初恋とはまさにこの事♪」

 「ちょっと、そこは段取りを踏んでもらわないと!」

 「ふむ、ならば我の分体を作りそなたの共としようか♪」

 「な、何か間違てるよこの女神~~~っ!」

 輪人が叫びを上げた時、次元の壁が割れ五色の巨大ロボダイユーシャが

ムーナと輪人の間に割り込んだ。


 「な、異世界の巨人! そして、この気配はジーラか!」

 ムーナがダイユーシャを見て叫ぶと共に、ダイユーシャからジーラが現れる。

 「女神ムーナ、貴方の好きにはさせません! 輪人様は、私の勇者様です!」

 「ほざけ、我に世界を奪われた太陽神が! その男児は我が夫にする!」

 「「誰が渡すか~~~っ!」」

 ダイユーシャが手を開き、両手の指から五色のビームを発射する。

 その隙に、ジーラが輪人の所に下り立つ。

 「輪人様、お助けに参りました!」

 「あ、ありがとう? 取り敢えず俺をダイユーシャへ!」

 「はい♪」

 ジーラが輪人を抱え上げて、ダイユーシャの中に入る。

 「よし、ダイユーシャの中に入ればってジーラさん?」

 気が付けば輪人はジーラと相乗り状態になっていた。

 「……これがお姫様抱っこ、幸せです♪」

 ジーラがうっとりしている。

 「先輩、私も先輩との相乗りを要求します!」

 ピンクが通信で叫ぶ。

 「輪人様、私と海でロマンスに行きましょう!」

 イエローも叫ぶ。

 「ジーラ、ズルいよ! 輪人、私も相乗りしたい!」

 ブルーも不平を叫びつつ、ダイユーシャの操作を行う。

 「輪人君、帰ったらドライブに付き合ってくれるよね♪」

 ブラックも、少し重たい口調で語りかける。

 「いや、皆まずはこの窮地を乗り越えよう!」

 輪人もレッドに変身し、操作に加わろうとする。

 

 「おのれ異世界の戦士共、その勇者は渡さんぞ!」

 ムーナも負けじと掌から銀色のビームを発射して応戦する。

 「そうはさせません!」

 ジーラが念じると、ダイユーシャを金色のバリヤーが包み込みムーナ

のビームを霧散化させる。

 「取り敢えず、超次元パンチで帰ろう!」

 レッドの叫びに皆が応と答える。


 「もしや巨人か? 男児は乗り物の巨人が好きと聞く、ならば我も用意しよう!」

 ムーナが何かを感じ取ると、叫びを上げる。

 「出でよ我が巨人、シルバーナ! 汝が主を取り戻せ!」

 ムーナの叫びと共に、ダイユーシャと同じ五十m級の額に銀の三日月のパーツが付いた白い人型のスーパーロボットが現れた。


 「何、相手もロボを出しただと!」

 ブラックが驚く。

 「物で釣ろうなんて、恥ずかしいね!」

 ブルーがキレる。

 「まったくですわ、ロボなら私が用意いたします!」

 見当違いな対抗をするイエロー。

 「甘いです、先輩の好みは赤とオレンジなんですよ!」

 ピンクも叫びつつ、ダイユーシャの武装召喚スイッチを押す。

 「その召喚、お手伝いします! ……金色も良いですよ♪」

 ジーラが自分の力で地球とこの空間を繋げる。

 そうしている間に、シルバーナが白い柄に銀の刃を持つ薙刀を召喚し

ツインアイを光らせて襲って来た。

 「来たぜ、ダイカタナ―♪」

 空間を割り、シルバーナの一撃を弾いて天からやって来たのは刀。

 それも赤い柄に赤い鍔の巨大な太刀であった。

 「悪いが俺は先約優先なんだ、それはこの世界の為に使ってくれ!」

 レッドが叫びダイカタナ―を取り、振るうと空間が避けた。

 「ダイカタナ―超次元斬り、逃げるぞ皆!」

 ブラックが操作を仕切り、次元の裂け目にダイユーシャを飛び込ませた。

 ダイユーシャが飛び込むと同時に消えた次元の裂け目にムーナがキレた。

 「おのれ~っ! 私の勇者、絶対に手に入れてやる~っ!」

 荒れた神殿の中にムーナの叫びが木霊した。

 

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