第2話

「にーなーぺーあー」

 

 俺は何の意味も持たない言葉をつぶやき続けながら、手を動かす。

 俺は小説家志望!小説家の卵!全身全霊でもって小説を綴るぜ!

 まぁそれくらいしかやることがないからだけど。


 ガチャ。

 

「ただいまー」


 玄関の扉の開く音と、妹のきれいな声が聞こえてくる。

 妹の声は俺の可もなく不可もなくという普通の声と比べてとても澄んでいてきれいで、声優としてもやっていけるような声だった。


「おかえりー」

 

 僕も玄関の方に向かって声を返した。

 妹の歩く音と、ドアの開かれ、閉まる音が聞こえてくる。

 よし、見れくれたかな。

 ちゃんと洗ってくれるといいんだけ


 バンッ!

 

 すごい音が聞こえてくる。

 ドタドタという足音ののち、

 

 ドゴンッ!

 

 僕の部屋の扉が蹴破られた。

 ふぁ!?

 

「お兄ちゃん!」

 

 僕の部屋に飛び込んできたのは制服姿の一人の少女。

 短く肩に揃えられたサラサラとしたきれいな黒髪にぱっちりとした瞳。

 制服に収められた裕福なお胸。

 下手なアイドルを軽々と凌駕する圧倒的な可愛いさ。

 普通オブザ普通の僕とは似ても似つかない可愛さを持った自慢の妹、瑞稀が、

 

 激臭巨大ディ◯ドを持ってそこに立っていた。


「ホゲェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

 

 僕は呻く。

 でも吐きはしない。ギリギリのところで踏ん張ってみせる。

 瑞稀の前で吐くわけには……というか僕の部屋を自分のゲロで汚したくはねぇ!

 汚してなるものか!


「なんで?」


「な、な、何が?」


「なんで?臭いって言うの?なんで?なんで?お兄ちゃん」

 

 瑞稀はハイライトの無い瞳を浮かべ、僕の元に近づいてくる。

 どうした?どうした?どうした?


「臭くない。臭くないよね!?お兄ちゃんは私を否定しないよね!しないよね!しないよね!ねぇ!」

 

 ちょっと待て。置こうか。とりあえずはその劇物を置こうか。頼むから置いてくれ。

 いや、この部屋に置いてほしくないから今すぎにUターンして洗面所で洗ってきてくれ。

 そんな本音を俺はぐっと呑み込む。

 今の瑞稀はやばい。ヤンデレヒロインのようだ。なんでだ?


「お兄ちゃん……。なんで返事してくれないの?ねぇ!」

 

「ふぁ!?」


 瑞稀はいきなりスカートを捲し上げる。


 僕の目に入るのは瑞稀のきれいな足と、陰部を覆う濃い陰毛。

 どこからとは言わないが、白い液が流れ出ている。


「お兄ちゃんは私の匂い好きだよね!」


「ふごっ!?」

 

 僕は頭を捕まれ、視界が真っ暗になる。

 僕の唇と体毛が絡み合い、僕の口に液体が流れ込んでくる。


「ふがっ!」

 

 僕は瑞稀を思いっきり突き飛ばす。

 その反動のせいか僕は椅子から転げ落ちてしまう。


「なんで?なんで?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。お兄ちゃんも私を嫌うの?違う。違う。違う。そんなはずはない」


「いっつ」

 

 僕は瑞稀に床に押し倒される。


「ふぐっ」

 

 そのまま瑞稀は自分の股間部を僕に押し付けた。

 ちょ、ちょ、ちょ。

 何が起きているのか!まるでわからない!本当にわからない!

 

「ふわっ。ふほ」


 僕の口に毛が、液が入ってくる。

 全力で僕は瑞稀の太ももを叩く。

 息が!息が!息ができない!


「お兄ちゃんは私の匂い好きだよね?嫌いになんてなっていないよね?」

 

 答えられない!喋れない!息できない!

 このままだと一生答えられなくなる!

 

「なんで?なんで?なんで答えてくれないの?なんで私の足を叩き続けるの?嫌なの?すんっ。ねぇぇぇ、ねぇぇぇぇ!」

 

 若干瑞稀の声に涙が混じってくるようになる。

 く、くる、苦しっ!

 僕は全力で叩く。


「息!ふひぃふゃ、息ひゃ!」


「あっ……」

 

「けっほ、けっほ」


 ようやく僕の口元が開放される。

 息が!息が出来る!生きているって素晴らしい!


「ご、ご、ご、ごめんなさい!お兄様!」

 

 目に涙を浮かばせた瑞稀が僕に謝る。


「大丈夫だから。お兄ちゃんは瑞稀に嫌いにならないし、お兄ちゃんは瑞稀の匂い好きだから」

 

 ぶっちゃけ例のディ◯ドの匂いに汚染されて僕の嗅覚は死んでいるので今は何も感じないが、普段の瑞稀は臭い。部活から帰ってきたときの瑞稀の匂いは尋常じゃない。

 瑞稀はワキガなので当然臭い。言わないけど。俺の一番大切な妹を傷つけるようなこと絶対に言わないけど。

 

「じゃ、じゃあなんで……」


「瑞稀が心配だったから。洗っているように見えないし、なんか雑菌が湧いているんじゃないかって。ほら、女の子の膣の中って雑菌だらけだから」


「お兄様!」

 

 瑞稀は顔をパァァと輝かせる。

 うんうん。瑞稀は笑顔が一番似合う。


「後、女の子が簡単に露出しちゃだめだよ!」


「あっ……」

 

 瑞稀の頬が一瞬で真っ赤に染まる。

 そして、床に転がっている自身の巨大ディ◯ドを見てりんごのように真っ赤かに染まる。


「はわわ~!!!忘れてお兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」


 瑞稀は巨大ディ◯ドを持って走っていった。

 ふぅー。

 僕は急いで窓を開けて換気を行う。

 周りの住民とか気にしていられるか。こちとら死にそうなんじゃ!

 

 僕は倒れてしまった椅子を起こして、席に座る。

 ……。

 ……………。

「ふぅー」

 僕は熱くなった頬を手で仰ぎながら、忘れるために執筆の続きを始める。


 僕の可愛い妹のまn……。

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