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 気が付くと、僕はまだ同じ場所にいた。何もかも悪い夢だった、というのならいいのだが、そんなことはない。撃ち抜かれて砕かれた脳髄と脳漿と血液は床にばっちり広がっている。だが、それでも僕には意識がある。そして、部屋が狭い。


 スマートフォンの画面を見る。操作はもはや不可能だと思われるが、かろうじて、日付を表示させて確認することだけはできた。頭を撃ち抜いた日から、まる一日が経過していた。


 体重計に乗ってみる。それを予測はしていたが、完全にその予想の通りだった。僕の体重は、だいたい二百と五十六キログラムくらいになっていた。


 僕はどうやら、二十四時間おきに質量が倍増するらしい。そして、少なくとも、脳を銃弾で破壊した程度では死なないになっており、その程度の事で『倍増』のプロセスを止めることはできない。


 さて。考えないといけない。いま、僕の体重はちょうど二の八乗。僕の想像通り、24時間おきに倍々で増えていき、そして質量保存の法則などの問題を一切無視してよいという前提を仮定として置いた場合。


 ぼくの体重は三ヶ月足らずで地球の総重量を超えることになるはずだ。


 

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