食べて美味けりゃ怖くないのか
珍しく、クトゥルフ神話について書きます。
クトゥルフ神話に関して、日本人はタコを美味しく食べれるから、そんな姿の邪神は怖くないという意見があります。
最初はそんな意見も面白いかもなと思ってはいたのですが、何度か同じ意見を見るたびにフラストレーションが溜まってきました。
なお、実際の文言がどのような内容だったかについては、精神衛生上の観点から、特に調べず、うろ覚えで書いております。ご了承いただけると幸いです。
正直、そんなことが真実なのか、はなはだ疑問です。
牛はこの世で一番美味い肉かもしれないですが、道端で急に追いかけられたら恐くないのでしょうか。家に帰ってきて、自分のベッドで豚が寝ていたら、恐怖を感じるでしょう。トイレで用を足しているときに、便器の水から鮭が這い上がってきて肛門に潜り込んできたとして、怖くないんですか?
美味しいから恐ろしくないなんてあり得ないでしょう。
そもそも、クトゥルフ神話の恐ろしさの骨子は、タコの頭部を持った巨神が怖いというものではありません。
この宇宙に神と呼ばれるべき存在がいるとするならば、それは人間など歯牙にもかけない強大な存在だろうというのが発想の根本です。これは神の善性に期待するキリスト教的世界観の根底を揺るがす試みであり、そういう意味では日本人に向かないという意見もわからなくはありません。
ですが、そこから宇宙や次元、時間をも超えて展開する壮大なストーリーこそが見どころです。そのスケール感から来る圧倒的な恐怖感を日本人が楽しめないとはとても思えません。
こんな意見はラヴクラフトの小説を実際には読んだこともない人が言っているのでしょう。映画「邪神バスターズ」を見た上での感想なのかもしれません。だとしたら、まあ、うん、納得せざるを得ないです。そもそも、アメリカ人でもあれを怖いと思う人いないでしょ。
タコの着ぐるみや覆面を着た人が出てくるだけで、何も恐ろしくないですからね。クトゥルフ神話の地球襲来を描いたアニメーションだけが見どころの映画です。
そんなわけで、この意見への真っ向からの反論として書いたのが「クトゥルフお母さん食堂」「人間牧場の兼平さん」の二部作となります。美味しく食べるけど、なお怖い、というテーマを込めました。
嘘です。そんなテーマだということは今思いついたことです。
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