第9話 女神とピエル・サンタマリア三世

「シクシク……もう…………お嫁さんに行けないわ……」


 服を脱がされて下着姿となった女神が泣いていた。



「っと、よく見たら女神らしく、めちゃめちゃ可愛いじゃん」


「ううっ、わらわは…………ルミナス発光ドレスがないと……う、うわぁあああああん」


 女神が泣き始めた。


 はぁ……。


 仕方ないな。


 女の子を泣かすのは本意ではない。


「はい、よしよし」


「うう……」


 女神の頭を優しく撫でて上げる。


「うう……おぬし……わらわの責任……取ってくれるのじゃな?」


「へ? なんの責任だよ」


「わらわを穢らわせた責任じゃ」


「いや、間違えて服を脱がしただけだろう」


「女神はそれでも穢れるのじゃ」


「いや、まぁ……責任は知らないけど、別に俺は戦いに来た訳じゃないしな」


「ん? おぬしは魔族と結託して、闇に落ちた魔人なのではないのか?」


「俺のどこが魔人だよ!! 何処をどうみてもただの人間だろう!!」


「…………その顔は何処をどう見ても魔人じゃな」


「は?」


 あ~、そう言えば、自分の顔、未だ見た事なかったわ。


 女神が何処からか鏡を取り出した。


「ほれ」


「あっ」


 そこに映っていたのは――――


「『ピエル・サンタマリア三世』か」


 全く気付かなかった。


 でも最初に会ったやつらは、ちゃんと人間だと分かってくれていたのに、どうしてだ?


 まぁ、それはいいや。


「それで、女神。その責任とやら、何をして欲しいんだ?」


「ん? そりゃ――――あれしかないわ」


「あれ?」











「ああ、魔王討伐じゃ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る