第8話 女神が光るといつから錯覚していた

 崩れ落ちた天使達。


 崩れ落ちたんじゃなくて、その場で跪く為だった。


 紛らわしいな!!


 後ろを向いたら、やけに光り輝く人がいた。


「ん~今度は女神か?」


「ほっほっ、わらわの名は――――」


「あの、女神さ~、光り輝いて前が見えないから、その光るの止めてくれない?」


 ビキッ


「おぬし、人間じゃろうが……まずはわらわの前に跪け!」


 怒った女神から、凄まじい衝撃波が俺を襲った。


 衝撃波で跪いていた天使達が全員吹き飛んだ。


 でも俺には全く効かない。


「だから、眩しくて前が見えないんだよ」


「なっ!? わらわの衝撃波が効かないじゃと!?」


「はぁ……そんなに光らせるって、女神ってそんなにブサイクなの? 隠さないとあれなやつだからだろう?」


 ビキッ


「おぬし……わらわに喧嘩を売るとは……大した人間よの! 目覚めよう! セイントドラゴン!」


 女神の号令で女神の後ろから大きな白いドラゴンが現れた。


 でも眩しくてよく見えない。


「セイントドラゴンよ! あの俗物を排除しなさい!」


 ガオォォォォーッ


 ドラゴンの咆哮と共に、凄まじい風圧が襲って来た。


 しかし、俺はびくともしない。


 やっと戻って来た天使達がまた吹き飛ばされていた。ちょっと可哀想かも。



 ドラゴンの踏みつけ攻撃が俺を襲う。

 

 ドカーン


 しかし、俺はびくともしない。


 ただ、おかげで眩しい女神のあれがなくなったから、やっと前が見れるわ。


 取り敢えず、ドラゴンの足を握る。


 そして、ぐるぐる回す。


 お~思ったよりは軽いな?


 ぐるぐる回したドラゴンを遠くへ吹き飛ばした。


 その向こうにようやく辿り着いた天使達が巻き込まれて、ドラゴンと共に遥か彼方へ吹き飛んで行った。


 あっ……わざとではないからな?



「って! また眩しいわ!」


「くっ! 人間風情が……!」


 女神の棍棒が俺を叩く。


 ドカーーン


 今まで聞いた音の中では一番大きいわ。


 ただ……女神が近すぎて、もはや目も開けてられないわ。


 まあ、いっか。


 取り敢えず、棍棒を叩き飛ばす。


 バギッ! という音がして、棍棒が折れたのは間違いないだろう。


 そして、素早く女神に近づいた。


 目は見えなくても、何となく気配が分かるというか。


 ――――そして、そのまま背負い投げ!






 ――と思っていた時期が俺にもありました。


 背負い投げのつもりが、まさか……女神の服だけ・・を背負い投げしてしまった。




 って!


 光っていたの女神じゃなくて、女神の服なのかよ!!

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