第6話 人魚が美しいは幻想です

 今度は三日以内に落ちたいな……。


 と思っていたら、今回は一日で落ちた。


 やったね!




「あら? お人間様が空から?」


 今回は落ちた所が悪くて、地面に頭から刺さってしまった。


 周りが真っ黒で全然見えない。


 腕も一緒に埋もれたから抜け出せないっ!


 ――と思っていると、誰か懸命に俺の足を引っ張ってくれた。


 それから数分後、俺が漸く地面から頭を抜けれた。




「どこの誰かは分からないが、ありがと――――っ!? 人魚!?」


 それはそれはもう美しい女性が一人、俺の前にいた。


 目立つのは、その足。


 なんと! 魚だった!


「はい、人魚族のパイルと申します。それにしても、人間様に見えるのですが……」


「ああ、俺は間違いなく人間だぞ」


「す、凄いですね……人間って海の中でも息が出来るのですね!?」


 ん?


 あ~、言われて見れば、ここ、水の中だな?


「あれ? 普通に息は出来るし、声も出せるわ」


「ふふっ、凄いですわね~、いにしえに伝わる勇者様のようですね~」


「勇者様か、でも俺はそんな大した存在じゃねぇよ。ただの炎上ユーチューバーだぜ」


「えんじょうゆーちゅーば?」


 首を傾げる仕草すら可愛らしい。


 足が魚じゃなきゃ、タイプだわ。


 まぁ、ドワーフの可愛い子ちゃんの方が好みかも知れない。


「えっと、それで人間様はどうして、深海街ヴェネーアに?」


「ちょっとドワーフに吹き飛ばされてな。それはそうと、お腹が空いたので食べ物を恵んで貰えないだろうか?」


「いいですよ~では、家に案内しますね~」


 人魚の彼女に連れられ、海の中を進む。


 泳ぐというよりは、海の中をジェット噴射で進む感覚だ。




 暫く進んで、きらやかな明かりが灯っている街に辿り着いた。


「ここがヴェネーアなんです~」


「ふむ……海の中というだけあって、魚が一杯だな」


「ええ、ではこちらに」


 彼女の案内で街の中を進む。


 ――そして。


「家の割には、随分広い広場だな」


「ええ……ここで食事なのです…………貴方をね!」


 そう話した人魚は、身体がムキムキになって、いかつい姿に変わった。


 あんなに可愛らしい外観だったのに!!


 めちゃくちゃおばさんになったし!!


 確かに、年齢を重ねれば、美人もおばさんになるけども!


「野郎ども! 今日の食事はこの人間だぞ!!」


 おばさんを通り越しておじさん化してないか?


 俺の周りに多くの海鮮物が囲った。


 げへへーって笑ってるけど……すまない。


 俺は今、とてもお腹が空いたんだ。


 お前達…………美味しそうだ。

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