第5話 カクヨムにとっての自主企画のメリット

 読者の皆様こんにちは、かずきーでございます。早速ですが前回の続きを語らせて頂きます。

 Web小説サイトを運営する立場としてよいこととは何か? 私は物事を考える時にできる限り単純化して考えるようにしておりまして、前回挙げた2点のカクヨム側のメリットも簡単に説明してまいります。


・作者に読まれている満足感を与えることで作者の他サイトへの流出を防げる

・作者に読まれる場を提供することで掲載作品の多様性を保てる


 単純に考えてWebサイトにとって良いことは利用者が増えることだと思います。何故ならば作者が増えれば増えるほど作品が増え、作品が増えれば増えるほど読者が増える可能性が高くなるからです。そして読者が増えれば広告収入やメディア展開される角川商品の認知度も高くなります。だから運営は利用者が増えてほしい。


 対して運営にとって悪いことは利用者が減ることです。作者は誰にも作品を読んでもらえないと創作意欲を維持できない。意欲を維持できないと当然書かなくなってしまったり、豊かに茂って見える隣の畑、つまり他の小説サイトに移ってしまいかねません。作者や作品が増えなくなるとそれに乗じて読者も減ります。読者が減ると広告や商品を見る人も減ってしまいます。


 このWebサイト利用人口の増加と減少に対してカクヨムがどんな手段を打てるでしょうか?


 まずカクヨムの利用人口を増やそうとした場合、真っ先に浮かぶ読み手増加の手段は広告ではないでしょうか? 角川系列の雑誌、文庫本の帯、本屋のポップ、メディアミックスされたコミック、CD、DVDにチラシを入れる等、Web小説読者層が好みそうな媒体や場所に広告を載せる手段です。ただこの場合、作者や読者に成り得る見込み客とカクヨム運営のどちらが能動的に活動するか考えてみて下さい。いかがでしょう? 広告を出す側の方がより時間と労力を使って能動的に動いていると容易に想像できませんか? また、書き手増加の手段としては小説コンテストがあると思いますが、この方法は審査期間を考えると年に何度も取れる手段ではありませんし競合サイトでも行われていて特別ではありません。


 増加に対して利用人口減少を食い止めようとした場合、働きかける相手は既にカクヨムに登録済みで執筆や読書といった活動をしているユーザー達です。既に囲い込んである利用者にサイト内でカクヨムの更なる魅力を伝えれば良いので、不特定多数を相手に当たるかもわからない広告を打つよりも効率は良いのではないかと思います。そして利用者減少に効率良い機能こそが自主企画であると考えます。何故自主企画が効率良い機能なのか? 私が考える理由は二つあります。一つはコスト、もう一つは誰が能動的であるかです。


 まずコストは自主企画機能の実装と運用にかかるエンジニアの人件費が主だと思います。当たり外れが分からず、更に繰り返し打たねばならない広告に比べてWeb機能ならば一度作り上げてしまえばサーバーが動いている限りは自動的に動作してくれるのでユーザーの求めに応じて適時動いてくれます。


 もう一つの能動性は自主企画機能を使う際に誰が能動的に動いているか考えれば一目瞭然だと思います。読者を求める作者が読者を得るために作者自身で能動的に自主企画を使いますよね? 何故か? それは自主企画の設定に自由があるからだと思います。自由に企画内容を設定できるから企画者は自分の作品を読んで貰うために試行錯誤して企画の条件を練るのです。この能動的な行動が成り立つのは第一話冒頭で挙げた読まれたいという作者が持つ欲求があるからこそだと考えます。


 作者にとって利用者が増えても自作を読んでくれる読者が増えるか定かではないカクヨムのWebサイト広告と、読者を増やすために自ら条件を考えられる自主企画のどちらが魅力的であるかは火を見るよりも明らかではないでしょうか? 試しに是非とも現在開催されている自主企画をご覧になってみて下さい。特定のジャンルに絞ったもの、長編に絞ったもの、低評価作品に絞ったもの等、作者様方が自作の宣伝のために試行錯誤していらっしゃる様子が見て取れると思います。


 結論として私は自主企画はカクヨムの利用者人口減少を食い止めるための防御機能としてとても有効に機能しているものだと考えます。カクヨムにもメリットがあるのです。


 いかがでしたでしょうか。以上が私の考えるカクヨム運営にとっての自主企画のメリットです。次回は私がこのカクヨム運営にとっての自主企画のメリットを意識してから自主企画の見方がどのように変化したか語らせて頂きたいと思います。

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