24 (R15?)
──カアラ様の部屋から離れ、その足で一階にある大浴場へ。
客も従業員も一緒に使うバラエティ豊かな温泉だ。
服を脱ぎ(いつの間にかブラのホックが外れていたが犯人は知朱。さっき背中を叩いて来た時だ)浴室へ。
恐らく、最も広い奥の温泉にいるはずだが……
カッポーン
「おほー、やっぱりここは広いし高級な桶使ってるから良い音が響くなー」
「毎回ここに来たらソレやるのやめなさい」
「あっ、ベリーおかえりー」
パチャパチャと水面を叩いて水を飛ばしながら喜びを表現する知朱は母親を見つけた子供のようで可愛らしくあるが、普通に周りに迷惑だ。
ゲレゲレ…… パタパタ…… ギチチ……
そんな知朱の側には、プカプカと浮かぶ一つの木桶があって、中には半分まで湯が張られており、虫ケラどもが一丁前に温泉を楽しんでいた。
小虫の癖に、頭に小さなタオルを置くほどの余裕。
水棲虫以外は、普通であるなら溺死したり衰弱死するのが虫という生き物の脆弱さだが、妖になると、凡ゆる耐性が付くほど強化されるのだ。
「ふぅ……お、お風呂だと体が重くなって、後が大変です……」
タンポポはタンポポで、チマッとしていた身体が今はハリウッド女優ばりのムチムチな姿へと成長している。
湯上げ、という植物にお湯をかけて成長を促す方法があるが、それだろうか。
……と、いうか、ここは当たり前のように女湯だが……いや、思えば、知朱が男湯に行った姿を昔から見た事が無かったな。
「ほらっ、早くベリーも入るっ(バシャバシャ!)」
「分かったから水飛ばさない」
知朱から桶を奪って掛け湯をし、湯船の中へ。
「疲れた顔してるねぇ。おばぁにいぢめられた?」
「いえ……やられてないわよ」
「嘘だぁ。──ま、安心して。僕がおばぁの地位を乗っ取った暁には、面倒くさいルールなんて全てぶっ壊して、ストレスフリーな職場にしてあげるから」
「え?」
それって……
つまり、知朱がカアラ様の地位を狙ってる理由って、まさか……
そんな考えが頭をよぎると……つい、表情が崩れそうになる。
こんな顔、絶対知朱に見せられない。
私はパシャリと温泉で顔を洗って、
「……全く(チャプ)ストレスの原因が何言ってんのよ(プニッ)」
ホッペを突いてやると、「なにすんだー」と何も分かって無い顔を向けて来た。
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