ヒロがやっぱりおかしい(モナ視点)
「モナ、何か身に危険を感じる事はないか?」
「得にないけど、ここ平和な町だし 郊外だしね」
ここ数日ヒロ?イアンだかもうさっぱり理解不能だけど私の安全が第一だからとどこにでもへばり付いてくる。正直ちょっとうざい。
ヒロが本当にそんな魔法の世界に連れ去られたとかどうやって信じれば?どうやって救えば?もしかしたら妄想膨らましただけじゃないかと疑っちゃう。
だって、私の横で歩くヒロは、ヒロだから。ボサボサ頭であ、なんだか最近たまにオールバックの日あるけど、今日はボサボサ。で、いつもの普通な顔だけど。
こんな顔で王子みたいな話し方されたらこっちが痒い。
「どうした?そんなに私の顔を見つめて」
「見つめてないから」
「今日の予定は?モナ」
「部活の後は塾行って帰る。あ、塾の前にノート買って、それからちょっと小腹満たして……」
「コバラ?はあ。分かった」
そう、時々単語がわからないらしい。やっぱり病気?!でこの日、陸上部の練習をじっと仁王立ちしたまま走る私から一切目を逸らさずに見て、私は部員に「あれ、マジどうなってんの?ヤバくない?!」と言われる。
はあ……ずっと続くの〜これ。勘弁なんですけど。
ノート買う時も片時も離れないし、コンビニでオニギリ選んでたら隣に立つ男性が横からオニギリに手を伸ばしたらその手を弾いて「無礼者!気安く前に躍り出るな」って……。
塾は流石に教室には入れないよって説得したら、小さいドアの窓からじーっと見てる。
「君、どうした?」
見かねた講師が声をかけた。
「これは失礼。ここは危険は無いようだ。あちらで私は待機するとしよう」とヒロは自販機コーナーに行ったみたい。
その晩、家にまで来て泊まるというから流石にお断りした。
翌日
放課後私は陸上部の先輩 南先輩に呼ばれた。
屋上に上がったら先輩はこっちに手を振ってるけど緊張してるように何度も「ウン ウン」って咳払いしてる。
やっぱり、告白かな……。先輩とはまだ半年は部活で会うし当たり障りなく断わらないと……。
「モナちゃん」
「あ はい」
「僕、ずっとモナちゃんの事好きなんだ。だから、もしちょっとでも僕の事好きになれそうなら、お試しでもいいからさ。付き合って欲しい」
「先輩……ごめんなさい 私……」
その時屋上のドアがバーンって開いた。古くなってたドアの取っ手もポーンって飛んだ……。来た……ヒロが来た。
そのまま猛ダッシュして来るヒロに私は叫ぶ。
「ヒロー!止まってーっ!!駄目ーっ違うの 敵じゃない 敵じゃない!」
ピタリと私の隣に止まったヒロ。
「味方か?」
「は?」
南先輩も唖然としている。もうきっと私の返事とかぶっ飛んだ感じ。
「この者の名前はなんという?」
「南先輩。南さん」
「南……おいっサウス!モナをどうするつもりだ」
「ちょっとヒロ」
「サウスの目は純情ではない。モナ、お前をどうにかしようと企みが見え隠れする。これは見逃せない」
「…………」
「おいっ待たないか サウス!」
先輩は静かにその場を立ち去った。
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