第6話 魔女の森にて
「おーい、姫さん。そろそろ正気に戻ってもいいんじゃないか?」
「えっ。」
「ですね。姫様、もう夕方になりますよ~。」
呆れたように言うシオンとシーナ。
いやいや、なんであなたたちは普通なのよ。
あのレオを見たなら、もう少し違う反応があってもいいんじゃないの?
「ね、ねぇ。なんでレオがここに来たの?」
「そりゃ、俺が連絡しといたから。」
「え。いつ?」
「ここに来た時。あ、夕ご飯、具沢山のトマトスープでいいか?
姫さんがこの時間になるまで正気に戻らないから、あるもので済ますぞ。」
窓の外を見ると、もう日が落ちている。私、何時間ぼーっとしてたの!?
シオンは夕ご飯の準備だろうか、何か作業しながら答えている。
シーナは冷めたスコーンを焼き直しているようだ。
「…。もしかして、今回のことは誤解だったりするの?」
「そうだろうな。」「そうでしょうね。」
テーブルにすべて並び終えて、シオンとシーナが席に着く。
どこから話を聞いていいのかわからないが、とりあえず…。
「なんで、誤解だって私に言わなかったの!?」
「聞かれなかったから。」
「言っても、ダメかと思いました。」
「ええ~二人が何も言わないし、逃げる準備もしてあるから、
本当のことなんだって思ったのに…。」
誤解だったなんて。もう、早く言ってよ…。
こんなとこまで逃げてきて、レオも怒ってたみたいだし…。
それでも誤解だったことに、レオが裏切っていないことに、
あまりの安堵に、もう言葉も出ない。
「あぁ、でも、誤解だと言って安心できるわけでもないかと思いまして。
実際に純潔を散らした跡はあるわけですし、
それがレオルド様じゃなかったとしても、レオルド様の私室の寝台で、
その令嬢が相手はレオルド様だと言い張っているわけですし。」
「そうだろうな。こうなった以上、側妃の話は出ているだろう。
どうやら令嬢がそのまま居座っているようだしな。
迎えに来るのを待ってろって言うのは、
そういうのを全部片づけてくるってことなんだろう。」
「そっか…そうよね、その令嬢は相手がレオだって言ってるんだよね。
相手は誰なんだろう…?
でも、それはレオじゃない??」
「違うね。」「レオルド様はありえません。」
「はっきり言うのね。」
「レオが姫さん以外にいくとか無いな。」
「レオルド様、姫さまのことしか興味ないですもん。」
二人そろって否定する。
そのこと自体は嬉しいんだけど…なにか引っかかる。
浮気相手はレオじゃない、でも、レオはその時どこに?
「でも、レオが仕事でいなかったって、それは本当?」
「「…。」」
あ、黙った。やっぱり何かあるんだ。
浮気は誤解だった、でも、何かある。
レオが迎えに来るまで逃げるつもりはないけど…。このモヤモヤ。
それに…また王宮に戻ってもあの毎日?
レオには会いたいけど、王宮には戻りたくないなぁ。
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