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「起きてたの」
わかってるならこんな時間に来ないでよ。
僕は深夜のバイトから帰ってきてちょうどいい気分で眠りにつくところだった。いっそ寝てしまえば、訪問に気づかずにいられるのに。なんとも絶妙のタイミングでやってくる。
僕をいじめるのが趣味なのかと勘繰りたくもなる。
「朝一番で伝えなきゃならないので」
どうせいつもの話でしょう。あなたにとって朝一番でも、僕にとっては睡眠に入る大事な時間なんですよ。
夢見さんは僕にちょっと外に出ようと言う。まあ、僕も中には入れたくないし、夢見さんも中には入りたくないんだろうから。喫茶店に入ると夢見さんはフルーツサンドを注文した。
「奢りませんよ」
「わかってるわよ。朝ごはん食べる暇がなくて」
「あなたのせいだからね」
少しイライラしている様子。それなら、わざわざ来なくてもいいのに。
「被害届は取り下げだから」
「ていうか、被害者そのものがもうこの世にはいないし」
「そのかわりあなたは容疑者の一人だから」
えっ、何それ。言葉が言葉にならず、僕はぼんやりと夢見さんの顔を見ている。
「とにかく、あたしと一緒に署に来て」
「逃げないでよね。今のところ任意だけど」
夢見さんの前にフルーツと生クリームをはさんだサンドイッチが運ばれてきた。
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