僕をストーカーと呼ばないで
阿紋
1
夢見さんが今日も僕を訪ねてきた。話の内容はいつもと同じ。つきまとうのを止めて欲しいと言われる。僕の答えもいつも同じ。
「僕はもうあいつにかかわっていませんよ」
「でも彼女はつきまとわれているって言ってるわ。勿論これは主観の問題だけど」
法的にどうのこうのっていうより感じ方の問題とでも言いたいのだろうか。夢見さんだって分かっているはずだ。たまに僕を尾行しているわけだし。僕は昔興信所でバイトをしていたことがある。向いてないとすぐに辞めさせられたけど、尾行されてるかどうかくらいわかるんだ。
彼女の訴えのおかげで、僕だって被害をこうむっている。仕事は辞めさせられただけでなく、未だに僕はまともに働けないのだ。
「自主退社でしょう」
「そういうことにさせられたんですよ」
「退職金だって出たんでしょう」
「一時金みたいなものですよ」
「それともお見舞金なのかな」
とにかく僕を黙らすためのお金だ。虚偽の被害届で逆に訴えられないのか。
「あなたはそれを証明できる」僕を見て夢見さんが言う。
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