第8話「初めてのサイファー」
部活の終了時刻が近づいたため、恒例のサイファーをすることになった。
ブレイクダンサーの皆が集まってると、向井堂部長がやってきた。
「ようお前ら、サイファーのジャッジなら俺が務めるぜ」
「アオトまたそうやって……どうせサボるための口実でしょ?」
ミキコさんが指摘する通り、ダンス部部長にしてヒップホップの指導者だと言うのに、最後はそっちのサークルを全部2年生にぶん投げてこっちにやって来る。
「良いじゃねえかよ、減るもんでも無いんだし。そんなことより、新入生達のダンスを見ておきたくてな。ヒカルくんの調子はどうだいリク?」
向井堂部長もリクさんの新入生に対する扱いが厳し過ぎるとも思っているが、
彼の性格と信念を認めていて、そのスタンスを寛容に受け入れている。
「ああ、問題ない。コイツには粘り強いガッツがあるからな。このまま一緒にダンスやっていけば、きっとすぐに上達するぞ」
とはいえリクさんのブレイクダンスの教え方が過激過ぎるせいで、
今でも男子部員がたった5人というのが現状だという面もある。
「そうか、期待してるぞヒカルくん!これからの成長が楽しみだぜ」
「……はい、有難うございます。向井堂先輩!」
すると向井堂さんが椅子を引っ張ってきて、ドスッと座った。
全身が筋肉質な上に、帽子もシャツも黒だから謎の迫力が出てる。
「よしそれじゃあ早速サイファー始めて行こうか!皆順番に並べ〜!」
「なんでいつもアオトが仕切ってんだよ。まあ良いか。ヒカル、こっち来い」
「クルミ、俺の好きなブレイクビーツをガンガン流してくれよ!」
「おいハルトそりゃずるいっしょ!!音源は定番曲にしてくれ!」
「アハハ……それはわからないよ、今回もランダム再生で行くんだから」
クルミにはいつも音源を担当させてもらっているんだが、
そんなことを言いつつも非常に有難いことに俺と音楽の好みが似てるのか、
俺が好きな洋楽なども高確率で流してくれることが多い。
『マジで将来は美人のDJお姉さんになってくれませんかねクルミ?』
「よしヒカル、お前は俺の真横に並んで、最後に踊るんだ。皆の踊りを一通り見て参考にして、お前が奪えそうな技や踊り方を、徹底的にパクっていけ」
「はい!わかりました、リク先輩!」
俺たちは左から順に3年生、2年生からサユリへと並んで行ったが、
指導を続けるために最後に俺、リクさんからヒカルの順番にした。
「悪いけどリョウスケ、今日はボトルスピンせずに、最初にお前から順に踊っていってくれ。皆もそれで良いか?」
ボトルスピンとはサイファーで最初に踊るダンサーを決める際に使い、
回してボトルの先が傾いた方角にいるダンサーから出るという仕組みだ。
「もちろんよ!!それじゃあクルミ、お願い!」
「はい!流しますね!」
通常のダンスバトル中でも双方が全く出て来なかったりすれば、
時間短縮のために、さっさと回していくジャッジも結構いる。
「おおおナイス選曲だな!!よっしゃ行くぞー!」
「かまして下さいっすリョウスケさん!!」
スピーカーからアップテンポなラップ曲が流れ出したので、
リョウスケさんも曲の雰囲気に合わせてステップを踏んでいく。
「良いかヒカル、ダンスにおいて最も大事なのは、カッコいい動きをバチバチに決めるよりも、音楽と溶け込む事なんだ。より具体的に言えば、音楽の隅々までよく聴いて、何よりも音楽を楽しんで表現していく事だと思う」
リクさんが説明してる間にもリョウスケさんはフロアムーブに入って、
パワームーブしながらも足の動きで、細かい音を表現と器用なことをしてる。
「勿論、だからと言って少しトップロックしてフリーズだけして帰って来るのは無しだぞ。それだとお前が何を伝えたいのかが一切わからないからな」
音楽に流れてるDJのスクラッチ音に合わせてハローバックしながら、
足をちょこまか動かしていき、そのままエアチェアーに刺してフリーズ。
「例えば今のリョウスケのワンムーブだと、トーマスなどのパワームーブとかしながらも、繋ぎとかでしっかり音を表現できてたから上手くて器用だろう?パワースタイラーでもしっかり音を拾うのは難しいが練習すれば出来る」
やがてリョウスケさんが踊りを終えると、ミキコさんが出てきた。
跳ね回るような音に合わせて足も器用に使いながらステップを踏む。
「今のミキコを見てみろ、まるで全身から音楽が出てきてるかのような錯覚を覚えるだろ?ブレイクダンサーでトップロックから全力で踊る奴は実は少数派だからな、やはり……。……っておい何やってんだミキコ?」
さっきまで弾けるように楽しくステップを踏んでいたミキコさんが、俺の目前まで来るとアップロックで俺を挑発し始めて反射的にイラっときた。
『あの時からずっとムカついて、ほんとムカつくわ……ハルト!!』
『ったくよ、今はヒカルを指導してるって言うのにこの人は……。ああ分かったよ、俺もムカついて来たから乗ってやんよ……アンやんのかオラオラァ!?』
「アウ!アウ!アウ!アウ!」
周りが掛け声発しながら俺も首チョンパ、パンチ、エルボー、ほくそ笑み、
日頃のストレスを目の前のミキコさんにぶつけるつもりで応戦していった。
互いに醜い笑みを浮かべながらバチバチにアップロックしてたせいで、
やがてギャラリーもまたかと吹き出し始めた。
「おっしゃ俺も乗ったぁ!!」
「アハハハハ〜!よし俺もやったろ〜」
セシルにリョウスケさんまで便乗し始めて、
リクさんと向井堂さんが笑いながら、女性陣も掛け声をかけていく。
『……ってオイなんでセシルまで、ミキコさんに並んで笑顔で俺を挑発して来るんだよ?てめえ後で覚えてろよ、俺こういうの根に持つタイプだからな』
ある程度やり合って満足したから俺たちは下がって行ったが、
ミキコさんが余程俺にご執心なのか笑みを深めながら、
両手で俺の頭を吹っ飛ばすディスりをするとカモンしながらフロアへ。
「さっきのがまさにアップロックってやつだよ。ミキコのハルト嫌いは有名だからな……通常のダンスバトル中に相手が踊ってるのに勝手に踊るのはタブーだが、このアップロックだけ別枠という扱いがあるのさ」
そう言ってる間にもミキコさんがウィンドミルやスレッドしてるけど、
繋ぎ中に露骨な煽りを寄越して来るから苦笑せざるを得ない。
「今ミキコがピースしてハルトに向けた後自分の両目に向けたのがわかると思うが、アレもルックというハンドジェスチャーの1つだ。主な意味としては俺、私を見ろだ」
やがて後転から上半身を押し上げて、エアベイビーへと華麗に決めると、
俺を指差しながら帰っていった。どうやらお呼びのようだな……!
「……え、リクさん。なんで順番守らずにハルトさん先に行ったんですか?」
俺は真ん中に移動しながらトップロックで踊り始めた。
ドラムの鼓動とそれに伴う音のたわみを両足で中心に表現していく。
「今回やってるサイファーに厳しい制限は特にないからな。さっきミキコが相手を指名するサインとして指差してただろ?ハルトはそれに答えたんだ」
「そうなんですね!」
ノリノリのラップに合わせて体の揺らしを維持してフロアムーブへ。
基礎的な足運びにも緩急や、高い頻度で逆方向やアレンジも加えていく。
『……よしじゃあそろそろあのセットムーブを披露してやろうか……』
俺はフットワークからポージングを取ると立ち上がってツーステップ、
勢いをつけるとミキコさんの方角へと狙いをつけて背中から床へ、
バックスピンからヘッドスピンからのエアチェアのコンボを叩きつけた。
「ッ……ハルトぉ……アアア、ムカつくムカつく〜っ!!!」
「ウェ〜イ!!ナイスムーブだぜハルト〜!」
「アハハハハ。もう……ハルっちったら〜」
ギャラリーも吹き出しながら歓声を飛ばしてきた。
俺もつい子供じみた真似をしたなと思うと、バカらしくなって笑えてきた。
『ああ悔しいだろう?なんせこのセットムーブはあなたのダンスに感化されて改良し生み出したムーブだからな……。俺に他人の不幸は蜜の味だ、と喜ぶ趣味は無いが、やっぱり本当に良い反応するんだよな、ミキコさん。そんなんだから困ったことに、俺もあなたを弄るのが辞められないんだよな……』
チェアーを崩すと煽りを飛ばすわけでもなく、俺は普通に戻ってきた。
物凄い熱い視線を送る者が約1名いるけど、気にしないでおこうか。
クルミが流す音楽を変えたので、それに合わせてユウカが踊っていく。
「なんかミキコ先輩凄く怒ってるけど大丈夫なんですか?」
「あのバカ2人が勝手にやり合ってるのは放っておけ、良くあることだ。さっきも言ったが、このサイファーに勝ち負けは無いからそう緊張するなよ?」
エアフレアからトーマスへ繋ぐと、個性的な足運びをしていくユウカ。
通常のフットワークでビートを刻む姿もやはり好感が持てるな。
「で、でも皆ほぼ
「大丈夫だってヒカル。今日習った基礎や皆が披露している動きを、簡単そうなものから真似していけば即興なんて余裕さ。派手な動きをする必要は一切ないから、今日はまだ音を聴いておくことだけに集中してくれれば良い」
6歩にCC《キックアウト》混ぜたりと基礎にトリックを加えた足運びを披露していく。ヒカルに独自性のお手本を見せてるのか、優秀な先輩だな。
「はいハルトさん。けどやっぱり人前だとどうしても、パニックになりそうなんです……。僕今までずっと基本1人で過ごしてきたんですから」
「俺も最初に人前で踊るときに経験したから分かるよ。人の目など外的な刺激に過敏になり過ぎて、気がついたら頭の中の世界に入り浸る。そうすると早取りが起きて他のダンサーにちゃんと聴いてんのかとディスられる」
その際のハンドサインとしてノット・リスニングがあり、
片手でピストルを作って、銃口を自分の耳に向けるものがそうだ。
「早取りって何ですか?」
「早取りとは音楽のビートが刻まれるよりも早く、ムーブをしてしまって音程を外しまくる
海外のダンサーに無重力かのような雰囲気を演出する者もいるな。
それをするのには莫大な全身の筋肉の持久力とバランス力が求められるが。
「海外だと倒立したまま下半身でドラゴンフラッグする化け物ダンサーなども居て、それも立派なキャラ作りだが。余りにも音を外しまくってると、1人よがりで好き勝手やってるだけにダンスだと評価されないから気をつけろよ」
モーションのデカい動きが多いからどうしても細かい音ハメだと、
他ジャンルに劣る場面が多いのは否定できないがブレイキンにも、
ブレイキンにしか出来ないやり方があるから、おあいこだろう。
「はい、ハルトさん!」
「それからこれは個人的に一番大事にしてることなんだが、なんだと思う?」
「ええと……ダンサーとしての自分になり切ること……でしょうか?」
『ほう……想像以上に真贋が優秀な奴だな……。確かに俺もリクさんに最初はそう諭されたんだっけ。けどそれは俺が2番目に大事にしてることなんだよな』
「ふっ……着目点が素晴らしいなヒカル。確かに普段の自分からダンサーとしての自分へとスイッチを切り替えることは大事だ。ダンス中はオラってる人が、インタビューされた途端オドオドするタイプの人も居るくらいだからな」
「そうなんですね」
「俺もダンス中はスイッチ入れ替えてるからな。この間の部活紹介で俺がソロしてた時の立ち踊りを思い返してみてくれ。他のダンサーとは全く印象が違って見えただろう?いくら俺でも日常生活であんな動き方はしないからな」
「はい、まさにザ・芸術家って感じで、独特な世界観作ってましたね」
『ふっ……俺もぶっちゃけそのようなイメージを抱きながらトップロックしていたが、改めて他人に見抜かれ褒められると凄く照れるなこりゃ……』
「ああ、ありがとう。確かにそれも物凄く大事だが、俺が1番大事にしてること……それは物語ることだ。お前はダンスを通して見てる観客にも何を伝えたい?バトル中の相手とどんな会話をやり取りしたい?それをブレイキンで表現していくのが大事だと思っているんだ」
俺はダンスを通して世界に自分の生き様を問いかける気持ちで、
向き合っているからな。怒りの衝動もダンスに利用できるようになった。
「フォー!!ヤバいっすね!!」
「リクやっぱエグいわそのフリーズコンボ〜!いつ見ても凄えな!!」
何よりダンスバトルをしたあの日に屈辱的な敗北を味わって、
バトルの本質を知ってからダンスと自分に対する自信が倍増した。
「物語る……ですか?」
「ブレイキンの本質は何も単にスキルや技が凄いからヤバいんじゃない。そこまで持っていくまでの流れや演出、空間の支配など絶妙な要素も重要なのさ」
俺は誰よりも自分自身に言い聞かせるようにして、そのセリフを続けた。
「自分のダンスのムーブ中に何かしらのストーリー性を盛り込める奴が、どんなに凄い技を扱えるダンサーにも勝る事ができる。今はまだこのことを本当に理解出来てなくても良いが。これを良く覚えておくんだな、ヒカル」
それを証明するかのように昨年のブレイキンバトルの世界大会では、技術的に完成された天才ダンサーがムーブ中にディスりやコメディ要素を盛り込んだダンサーに敗北したのがブレイクダンスの界隈では話題になっていた。
「はい……とても参考になります、ハルトさん!」
「ああ、そうだろう。ヒカルにはいずれブレイキンバトルの本質も教えてやりたいが、それはまた今度にしようか。そろそろお前にも順番が回ってきたようだ」
きっと近々に必然的なバトルイベントが勃発するだろうから、
その機会を利用してヒカルに、バトルの何たるかを教授してあげよう。
「ヒュー!!ナイスムーブだったぜリク!!」
「ほんとリクさんフリーズ大好きっすよね!!」
俺とヒカルが喋ってた間にどうやら1周してきたようだ。
ヒカルが緊張しながらステップを踏み始めて中心に向かう。
「おっしゃ来いヒカル!!サークルは楽しいぞ〜!」
「頑張れヒカル〜!落ち着いて音楽を聴くんだよ!」
ツーステップやインディアンを中心にトップロックし始めるヒカル。
お?スピンや手振りを変えながらステップの幅を広げ始めた。
「いいぞヒカル!!その調子で今日習ったことを復習していけ!」
「音聴けてるよ!その調子その調子!」
右足を左の膝裏にくっつけて床に入るドロップを使うと、
拙いながらも6歩や逆回転でキックアウトも入れ始めた。
「お〜ユウカのムーブを真似できてるぞ!良いねいいね!」
「今度はスレッドか!?教わってないのにすげえな!!」
文字通り右手で左足を掴むことで右足を通したようだが、
それ以降は特にムーブが思いつかなかったのか再び6歩へ。
「良いよいいよヒカル!どんどん試していこ!何事もトライ&エラーだ」
「ドラム音に合わせて足を動かしていくと良いぞ!」
左軸腕で体重を支えながら、その場で軸腕を床に上げては下ろしながら、
何周か細かい足運びで旋回し始めた。早速オリジナルムーブ編み出したな。
「へ〜やるじゃんヒカルくん!ナイスだよ!」
「お、新しいぞ!ナイスナイス、そのままチェアーへ行くかー?」
反時計回りの6歩でフロントの体勢から勢いを少し溜めると、
小さいながらも孤を描くようにして、その足をぶん回してチェアーへ。
「良いムーブだったぜヒカル!!最初でこれは凄いぞマジで」
無理矢理感が凄かったが、初めてのムーブにしては総合的に優秀過ぎた。
チェアーやる時にも左足をしっかり床に突き刺すことで、
肘からお腹へ伝わる圧迫感を和らげてもいたし、本当に上出来だ。
「流石ハルっちとリクさんだね。最初のムーブでこれだけ出来たらもう絶対にすぐバトルに出られるようになるかんね!」
「ウチもビックリしたわ!本当に教えるのが今日で初めてだったん!?」
俺の方が驚いてるわ2人とも。
俺が一番初めにやったクソ中のクソムーブと比較したら雲泥の差だわ。
「マジで今の良かったぜヒカル!!おっしじゃあ2周目行くか〜!」
「……ありがとうございます、先輩の皆さん!」
リョウスケさんが拍手しながらグルリと回ってきてヒカルの肩を叩くと、
変わった音楽に合わせて再び中心に向かってトップロックし始めた。
「流石ハルトだな、俺がムーブしてた間にあのムーブを入れ知恵したか?」
「いや、俺は特に何も口出ししてないですよリクさん。ソースはヒカルでしょう」
「有難うございます、先輩方!お陰様でダンスが楽しくなってきました!」
「良い返事だ!これからものめり込んでいって、たっぷり痛感していけ」
「はい!」
それからも俺たちは皆でもう1周ワンムーブずつやっていくと、
部長の号令で俺たちはモップを掛けたりと後片付けをしていった。
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6時にいつも通り部長の挨拶が終わって解散になったので俺たちは、
チャリを押しながら校門へと向かっていたところだ。
「今日のヒカルも凄かったけどさ、やっぱりサユリが1番エグいっしょ」
「マジでそれな!ウチもまだ夢を見てるんじゃないかって思えてきたわ」
いかにもサユリはパワースタイラーとしてメチャクチャ優秀なようだ。
大技を呼吸するかの如く連発してたし足運びもしっかり力強かった。
「サユリちゃん家では絶対プロテインがぶ飲みしてるでしょ。私以上にぶっ飛んでるからねアレは。けど新たなライバル登場で砂っち燃えてるかんね〜」
「サユリちゃんを競合相手として認識できてるユウカちゃんも凄いと思うよ、ミキコ先輩なんて例のエアフレア見てから完全に戦意喪失してたからね……」
闘志を燃やすユウカにそう苦笑するのはクルミだ。
対抗意識は良いと思うが、技術的な側面で比較したら完全にサユリちゃんに武が上がるだろう、アレで年下の女の子だという設定そのものがチートなくらいだ。
『そう、技術的な側面でしか見なかったら、な……。当然バトルでは技術が凄い方が必ず選ばれる訳じゃない。もしそうだったらバトルする必要なんて無く、最初から勝負は決まってるからな。恐らくバトルなら勝つのは……』
「よっし、今日もまた中央公園に行って練習に励もっか!ウチも改良したい動きとか沢山あるからね、ユウカも当然行くよね?」
「当然でしょ!!私もやる気満々だかんね!ハルっちも……来れる?」
無理だな……月曜日と木曜日は大事な約束がある2日間だからな。
「いや、俺は今日もクルミと一緒に帰るよ」
「そっか。まあしゃあないっしょ。今日もいつものように頑張ろうぜ!」
「うん、だから皆ごめんね。今日も練習頑張ってね!」
俺とクルミは校門を抜けるとセシル、リオ、ユウカ達と別れていく。
自転車に乗り始めながらも、隣のクルミが聞いてきた。
「ハルトくん、今日も練習お疲れ様。ヒカルくんを教えるの凄く頑張ったね」
「ありがとうクルミ。あいつのポテンシャルは計り知れないからな」
実にこれからの伸び代が楽しみな奴だよ本当に。
ダンスの成長スピードは初期の俺を遥かに凌いで行くことだろう。
「勿論本人の努力もあってこそだと思うけど、ハルトくんの功績も大きいよ」
「ああ、そうだな。そんな訳で今夜もお腹が空いたよ、何にしてくれるんだ?」
「ふふふっ、さて今夜のご飯もどうしよっかな〜?ハルトくんからは何かリクエストある?」
俺とクルミがそんな会話を繰り返しながら、
2人は星空の下をチャリで夜の街を漕いで行くのだった。
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