第7話前世のおまじない

「それで何の聖符を作るんだ?」

「とりあえず葉っぱにしようかと」

「葉っ?」


ナデットには前世の記憶があるが、ほとんどの前世無双は各ルートのライバル令嬢達によって達成済みである。平民のナデットには産まれ的にも内政は不可。それならば前世の知識から、もしかすれば聖符を前世で縁起ものになっていたもので作れば高位精霊の力を借りれるかもしれないと考えていた。


(狙うは四つ葉のクローバー。前世の幸運のシンボル。前世のこの世界の縁起は違う。それでも、私はご都合主義を祈るしかない)

「うん、クレイブの小さな葉が4枚に分かれているものってあるかな?」

「クレイブってあの5枚葉のちっちゃいアレか!?あんなのに精霊なんかくるのか?」

「それを試してみたいの」


ナデットの目を見たシェカンは、少なからず自信を持っているのがわかりしぶしぶといった感じだが同意を示す。


数時間後


「いや、マジで見つけんの苦労したな。1枚欠けたクレイブなんてすぐ見つかると思ったのによ」

「本当だねぇ、まさかこんだけ探して1枚だけなんてねぇ」

「でも、これで試せるな」

「うん」


ナデットは2人で何時間も探してようやく見つけたクレイブを両手で大切そうに覆っていた。失敗したくない気持ちがよりいっそう強まる。


「世界にあまねく精霊よ、奇跡を!ひとさじの加護を我が両手に与え給え」


ナデットが詠唱を唱えると、ナデットの周囲が金色に輝き始め精霊がナデットの前に降り立つ。その姿はとても神々しく、贔屓目にみても低級精霊には見えなかった。そして、ナデットの手に自らの手を翳して人間には聞き取れない言葉を呟いて消えていく。


シェカンは、その光景を呆然と見つめるしか出来ないでいた。しばらくしてからハッと気づきナデットに声をかける。


「せ、成功したのか?」

「う、うん。能力は4回限りの衝撃反射能力だって」

「は、反射?まてよ。そんな能力付与出来るのなんてかなりの高位魔術師が高価なアクセに宿るものじゃねーか!」

「だ、だよね」


明らかに、そのまま拾った草に宿るにはすぎた能力。シェカンはおかしさを感じるしかなかったが、ナデットはひとまずの成功に喜び次の目的を考える。


(まだこの一回の成功ししてないけど、今後も可能ならミサンガや数珠。シーサーやラビットフットとかもためしておきたい。でもその前に・・・)


「ヒール!」

力をくれた精霊にはお礼をしなければいけない。天空へむけ放ったヒールは魔力へと霧散され精霊への力へと変わる。

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