第6話何が出来るの

次の日の朝、ナデットはシェカンと向き合っていた。神属性魔術はすでに諦め、手持ちの聖属性魔術で学園に通うわけにもいかない。


「シェカン!私に剣を教えて!」

「ナ、ナデット?いきなりどういうことだよ?」


唐突なナデットの発言に、シェカンは頭に疑問符を浮かべる。ナデットもそう答えられることはわかっていた。だから、自分が今出来る聖属性魔法わシェカンに見せることを決めていた。



「見てて!・・ッックゥ」

「なにやってんだ!」

ナデットは、自分の腕に噛みつき歯型をつけながら血を流した。


「ヒール」


その言葉とともに、血は止まり歯型は綺麗に消えて元通りになった。


「私は、シェカンの冒険についていく、それでシェカンの傷を癒す!でも自分の身も守れない足手まといだけは絶対嫌!」

「ナデット・・・わかった。でも、おっさんに相談してからな」

「うん!」

(絶対シェカンについていく。パパは絶対に説得する)


父親を説得さえできれば、シェカンの冒険についていける事が出来そうな事にひとまずの安堵を覚えるナデット。とはいえ父親が帰るまで時間はまだある。剣の稽古は今日は出来そうにない。


「じゃあ、聖属性の特訓してみたいから手伝って貰える」

「聖属性って何すんだよ?」

「もちろん聖符作り!」


聖符とは、聖属性魔術により精霊の力をなんらかの媒介に閉じこめたアイテムである。基本はイヤリング等の高価なものだが低級精霊なら子供のお守りとして、袋などに使いきりで入れてくれる。もっぱら子供の練習として使われる手法である。


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