天の気まぐれ2
春樹は診断書は今後重要になってくる。勿論怪我は診てもらったほうがいいと病院に行くよう促した。
真咲に付き添われて、緊急外来に来ていた。
「他に怪我はないか?」
「あちこちに痣はあるんですけど、もう痛くないので、大した事ないと思います」
「この際だ、全部診てもらえ」
「あの、先生ありがとうございます」
幸い、軽症で大事に至る怪我はなかった。
「学校で何かあったのか?大地と真帆は偉く心配していたぞ」
真咲は、事前に大地から事情を聞いていたが、知らないふりをした。
大地の話から、噂は悪い方に膨らんだが、今回の事態とが絡んでしまったことで、朱莉にとっての傷は深くなったと推測していた。
学校で広まった噂については、時間が解決してくれるのではと踏んでいる真咲は学校に来るよう説得を試みるつもりだった。
朱莉は昨日とは打って変わって、真っ直ぐに答えた。
「学校で変な噂を聞いてしまって、当たりどころがなくて大地と真帆に八つ当たりしちゃったんです。大地は追いかけてきてくれたのに」
「噂なんだよな?だったら気にすることはない堂々としていればいいんじゃないか」
「でも、真帆たちに合わせる顔が、、、」
「お前たちは小学校の頃から一緒なんだろう」
「はい」
「とりあえず八つ当たりしてしまったことはきちんと謝罪をして、仲直りしてこい」
「友達は自分の力で取り戻さないとな」
朱莉の肩を叩き励ました。真咲に応えるように顔を上げた。
「そうですよね」
立ち上がり、真咲の顔を見据える。
「明日、学校へ行きます」
「わかった。待ってる」
真咲の笑顔を朱莉は目に焼きつかせる。辛い時はこの笑顔を思い出そうと心に決めた。
真咲に反対されたが、朱莉は自宅の前まで来ていた。
夜なら仕事で留守な筈だから荷物を取りに行きたいと懇願した。
『制服もない、鞄もないんじゃ学校に行けない』と言って聞かなかった。
朱莉の勢いに押し切られる形で折れざるおえなかった。
なんかあったら必ず連絡することを念押しして、朱莉と別れた。
「先生、ありがとう。明日学校で」
大きく手を振った朱莉は笑顔だった。
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