黒い影2

すっかり雨に打たれ、傘を差さずに走ったせいか体は冷え切っていた。

「ただいま」

いつも言うようにしていた。けれど帰ってくる声はない。

安心して、薄暗いリビングを横目につま先で廊下を歩く。



冷えた体を温めるためシャワーを浴びようと脱衣所に手を掛けた。


「、、、、、、」

目の前にはお風呂から出たばかりのカズの姿があった。

「ごめんなさい」

慌てて目線を下げ、その場から立ち去ろうと後退りすると

腕を強く掴まれ、そのまま風呂に引きずられた。

「あの、ごめんなさい」

謝りながら抵抗しても、力で捩じ伏せられた。

「こんなに冷たくなって、可哀想に」

カズはシャワーを捻り、制服を剥ぐように乱れさせると興奮したのか息遣いが荒くなってくる。

「こうやって、僕のこと誘ってるんでしょ」

と耳元で囁くと、生温い吐息と共に舌が伝った。


「やだ、やめて」

と何度も叫ぶ、しゃがれ声が風呂場に響く。カズは構うことなく唇を塞ぐ。

「おかあさーん、お母さーん」

何度も母を呼んだ。断末魔を絞り出すように叫んだ。

露になった胸に顔を埋められ、手が身体のラインを必要になぞる。


『怖い、やめて、誰か助けて。神様』

ぐっと目を瞑って神様に助けをこう。聞こえていたのか、鼻で笑うと

「お母さんは今いないよ、こんな雨じゃ僕が迎えに行かないと帰ってこれない」

カズは不気味に笑い、勝ち誇ったようだった。

時間はたっぷりあるからねと全身を遊ばれた。


嗚咽で上手く叫べず、代わりに大粒の涙がぼたぼた溢れた。

「可愛いよ」

とひたすら虐められると、

「お母さんはこれが好きなんだよ」

と言って朱莉の中に無理矢理入ってきた。

「朱莉ちゃん、もしかして初めて?いいね、いいよ。僕がいないとダメな体にしてあげる」

興奮の絶頂のカズは朱莉にしがみつき、しつこくかき乱した。


朱莉はを失った。

抵抗しても力で捩じ伏せられ、流す涙も叫ぶ声、も無駄な足掻きで終わった。

痛くて、気持ち悪くて反吐が出そう。何もかも吐き出したくなる。



『私、終わった』


涙は枯れ、声も枯れ、何時間こうしていたのだろうか。脱力感で体が思うように動かない。

ただ風呂場の天井を呆然と見上げるしかなかった。




「誰かに言ってもいいけど、あまりお勧めしないな」

悪魔が完全に目覚めた。続けて悪魔になったカズは捨て台詞のような言葉をかけた。

「、、、、、、」

その言葉に朱莉は支配された。


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