スタートアップ
通学に便利な地元の高校を受験した。
中学からの友達も沢山いて、同じクラスになった友達とは手を叩いて喜んだ。
どこにでもいる普通の高校生になった朱莉。
「さっきイケメンいたよ」
「うっそー!何組かな」
「多分、先生じゃないかな?スーツ着てたから」
「マジで」
親友の
「よう!朱莉、真帆も一緒のクラスだな」
手を上げて歓迎してくれたのは、幼馴染の
水泳でジュニア強化選手の大地は地元では有名人で女子からも男子からも大人気の少し髪の茶色い男の子。爽やかで嫌味のないムードメーカーでもある。
「大地、相変わらずモテモテみたいだね」
ほら、みて。真帆が合図する方向には他クラスの女子が集まっていた。
真帆は同じ歳なのに、姉御肌で面倒見のいいお姉さん。
父子家庭で、兄弟のお世話や家事を担っていて何でも器用にこなしていく、自慢の大親友。
チャイムが鳴る。
「えーーー!ウソっ。朱莉、あの人だよ」
教壇に立ったのは、朝、真帆と話していたイケメン先生だった。
「一年C組の担任の
女子からの黄色い声が教室を走り回る。
「先生は何歳なんですか」
「先生は彼女いますか」
「先生は好きな食べ物なんですか」
と止まらない質問に少し困った笑顔で、完全に雰囲気に圧倒されていた。
お人好しなんだろうか、でもすぐにネクタイを締める仕草をすると「はーい。静かに」と声を張っていた。
「じゃあ、みんなにも一言ずつでいいので自己紹介よろしく」
と楽しい高校生活がスタートした。
そして森岡先生の薬指には、キラッと光る結婚指輪があった。
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