逆勾配変動

 生物学的な集団において、環境要因に対抗するような向きにはたらく遺伝子が存在する時に起こりうる表現型可塑性の一種。

 要するに、同種の複数集団において、(環境要因と遺伝的要因が互いに相反する向きにはたらくことによって)遺伝的要因や環境要因が異なるのに、別集団でもあたかも同じ様な表現型となる要因となる現象。



ex.)成長率


低温環境は、一般的に成長速度を遅くする向きにはたらく環境要因であり、高温環境は一般的に成長速度を速くする向きにはたらく環境要因である。ある生物種が2つの集団AとBの集団に分かれて存在していて、どちらも温度によって成長速度に大きな影響を与えられていると仮定した時に、


集団A{遺伝的に成長率が高く、高緯度地域(=冷涼な地域)に生息している}

集団B{遺伝的に成長率が低く、低緯度地域(=温暖な地域)に生息している}


とすると、環境要因と遺伝的要因がそれぞれはたらくことによって、同じ様な成長率を示す可能性がある。この様な場合、同じ条件下で飼育する(=環境要因を揃える)と、遺伝的要因による差が現れるため、集団Aの方が成長速度が速くなる。



なお、必ずどの集団でも起こりうる類いのものではない。が、温度に関しては当てはまる生物種は多いらしい。

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