第26話 35〜60層
――ダンジョン35層。
雪ダルマ型の魔物、ジャックフロストに足を氷漬けにされるも、かつてサーニャが使っていた武器に纏った魔力を飛ばすスキル【空刃】を見様見真似で再現して遠距離攻撃の手段を手に入れなんとか切り抜ける。
「リエラの苦しみと比べりゃこんなん屁でもないわああああ!!!!」
――レベルが上がりました。
――スキル【空刃Lv1】を獲得しました。
――魔法【氷属性魔法Lv1】を獲得しました。
【空刃Lv1】
消費MP30
刃に纏った気を放つ遠距離攻撃。
筋力と魔力に応じてダメージが上がる。
――ダンジョン40層。
2足歩行のトカゲ型魔物、リザードマンの手には剣と盾が握られており、対人戦闘に近い戦いに苦戦を強いられるも、今まで得た技術を駆使して切り抜ける。
「つまり盾ごとブチ抜きゃいいって話だろうがああああああ!!!!」
――レベルが上がりました。
――スキル【短剣術】が【Lv6】に上がりました。
――スキル【乱れ裂き】が【Lv3】に上がりました。
――ダンジョン45層。
筋骨隆々の2足歩行の牛型魔物、ミノタウロスが繰り出す巨戦斧を正面から受け止め、腹筋を突き破る勢いで放った蹴りでミノタウロスを玄室の壁まで吹き飛ばす。
壊れた短剣もあとで名匠の鍛冶槌で治せると割り切り投げ捨てつつ、そのままミノタウロスの角を掴みながら膝蹴りを入れて顔面を砕く。
「てめえらなんか素手で十分じゃあああああああああ!!!!」
――レベルが上がりました。
――HPを【+100】します。
――MPを【+100】します。
――ダンジョン50層。
かつては1匹相手にするだけでもギリギリの戦いを強いられたオーガが群れを成して俺を取り囲み、内1匹に横腹を大剣で叩き込まれて壁まで吹き飛ばされる。
「いくら強くなっても体重は変わらないから重たいの食らうと吹き飛ばされるんだよな……ヒール」
回復魔法で傷を治して即座に前線復帰。
【ダッシュナイフ】【乱れ裂き】と得たスキルを駆使して一か所に留まらず、【空刃】による遠距離攻撃も交え、【隠密】【奇襲】で群れを翻弄し、隙を見つければ【鬼斬り】による大打撃を叩き込む。
ステータスだけではなく、判断力、知識、勝負の勘、魔物を殺すのに必要なありとあらゆる能力が培われていくのを実感しながら、最後のオーガに短剣を叩き込み、脳天から股までを一刀両断する。
――レベルが上がりました。
狩る。
――レベルが上がりました。
狩る!
――レベルが上がりました。
狩る!!!!
――レベルが上がりました。
「はぁ……はぁ……あと1層!!」
あれから何時間経過したのかも、太陽の光が届かないダンジョン内では知る由もない。
60層の魔物を全て片付け、いい加減にすり切れてきた集中力をギリギリの所で保ちながら、見えてきたゴールを支えに意識を保つ。
「疲労度だけじゃなくて集中力も回復してくれ……もはや自分が何者なのかも分からなくなってきたし、握っている武器と手の境界も曖昧になってきたぞ……視野も広くなったのか狭くなってんのか分からないし、日常生活に支障きたすだろこれ……」
俗に言うランナーズハイ状態から抜け出せない感覚に恐怖を覚えてきた。
――ピコン
――60層の討伐対象を全て倒しました(60/61)
――以下の報酬が支払われます。
■HP・MP・肉体の疲労度を全回復。
■全てのステータスを【+10】する。
■HP・MPを【+100】する。
エドワード・ノウエン
レベル66
HP3800/3800→3900/3900
MP3100/3100→3200/3200
筋力520→530
防御350→360
速力675→685
器用380→390
魔力305→315
運値330→340
スキル【短剣術Lv8】【双剣術Lv8】【隠密Lv2】【奇襲Lv2】【ダッシュナイフ・5連Lv6】【鬼斬りLv3】【獣斬りLv2】【虫斬りLv2】【急所斬りLv3】【乱れ裂きLv4】【空刃Lv3】【開錠Lv1】【鑑定LvMAX】
魔法【回復魔法Lv3】【清潔魔法Lv1】【火属性魔法Lv3】【氷属性魔法Lv1】【雷属性魔法Lv1】【付与魔法Lv4】【強化魔法Lv4】
「バカみたいにステータス伸びてるけど、レベル上がっても敵も強くなるからそんなに強くなった感覚ないんだよな……」
しかも強化魔法で全ステータス強化も当然のようにかけてるにも関わらず。
パーティで連携して倒すのが前提の魔物を1人で相手しないといけないので、全方位に対する感覚も過敏になっているが、踏破報酬のステータスボーナスがなければとっくに死んでいてもおかしくない。
「だが……あと1層! 待ってろ! リエラ!!」
アイテムボックスから取り出した水(途中の踏破報酬で食べ物や飲み水の差し入れがあった)を残りを胃袋に詰め込み、残りは頭から被り身体を冷やす。
「……よし! プリム! 準備は出来たぞ!」
虚空に向かって声を上げると、足元に魔法陣が出現する。
まぶたの裏に浮かぶのは無論、妹の顔。
魔法陣の光に包まれながら、脳裏の妹に一時の別れを告げ、ゆっくりと目を開けた。
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