ヴァーミリアン・エンデュミオン辺境伯家の華麗なる日常
@kwkek
第1話 今見ている景色をこの先も忘れる事はないだろう
眼下に広がるのは夕日に照らされて一面金色に輝く小麦畑
まるで金色の絨毯を一面に敷き詰めた様だ。
母の腕に抱かれ今俺は目の前に広がる眩いばかりの景色を母と一緒に眺めている。
何でも無い
唯、風景を見ているだけのこういう普通の事が何よりの幸せなんだと改めて思った。
どうやら今回の転生は上手くいったみたいだ。
何故かって?
実は転生は二回目だからだ。
最初に産まれたのは太陽系第三番惑星の地球の日本という国出身だ。
特に波乱万丈の人生を送って大往生を迎えた訳でも無く
普通の幼少期を送り普通にエスカレーターの様に進級していき三流大学を卒業して就職した。
所為何処にでもいる
仕事が激務だった事と生来女性と話すのが苦手だった為、彼女いない歴=年齢の普通の青年だった。
彼女が出来なかったのは仕事が忙しかったせいだと思いたい。
希望的観測だけど、まだ見ぬ伴侶はどうやら世界の何処かで寛いでいたんだろう。
等々お会いする機会には恵まれなかったみたいだけど。
職場と家の往復というサラリーマンあるあるだったので特にそんな素敵イベントが起こる事は無かったけど。
いつもの様に会社から帰り住んでいる家賃3万円の社宅のドアを開けたまでは記憶にあるんだけど、
どうやらそこからの記憶が全く無く目が覚めたら全く知らない所に寝かされていた。
冗談みたいな話に聞こえるけど実際こういうのは体験してみないと分からないから。
手足は短くなっていて喋ろうにも口からはあとかうしか言葉は出ない。
「あうあう」
可愛い幼女だろうか?
否! 男の子の様だ。
何故分かるかというと下半身に男の子にしかないシンボルがあるのを感じるからだ。
取り乱そうにも僅かに動く手足をバタバタするしか無い。
更に状況を把握しようにも周りには誰も居ないのだ。
こんな所で放置プレイされる様な趣味は俺には無いんだけど。
ましてや赤子になっていて同時に赤ちゃんプレイまで味わえるとかそういうのが好きな人には最高の環境なんじゃないだろうか。
羨ましいかって?
何処にいるか分からないそこのお前
今すぐ変わってやる。
さて、これからどうしたものか。
まさかこんな状況になるなんて思っては居なかったので内心ではかなりの焦りもあるけど如何せんどうしょうもなく既に詰んでいる感全開だ。
こいいう時は寝て起きたら現実に戻っていて悪い夢だったねと笑い話になるかもしれないという僅かな希望を胸に俺は目を閉じ意識を手放したのだった。
どの位眠っていたのか分からないけど部屋の外から聞こえる声で目を覚ました。
??「○○○の様子はどうだ?」
??「大人しく寝ていらっしゃいます。」
??「それで、髪の色と目の色は?」
??「髪はブロンド、目の色は黒です。」
??「無能力か...... 分かった。死なない様に適当に世話をしておけ。」
??「畏まりました旦那様。」
部屋の外から男性と女性の会話が聞こえたけど短く会話した後部屋に入ってくる事も無く男性の方は立去ったようだ。
数巡後、ドアが開かれメイドさんの復を着た女性が入って来た。
??「本日よりカイエン様のお世話をさせていただきますアイシャと申します。」
アイシャと名乗った女性は赤子である俺に仰々しく一礼をした。
俺も本来ならどうもご丁寧にと前置をした上で名乗るべきなんだけど如何せん上手く話せないので目一杯動かせるだけの手足を使って「あう」とだけ返事を返した。
これが今出来る精一杯なので改めて話せる様になったら挨拶しよう。
目の前のアイシャさんはまだ10代に見える位に若く見える。
ブロンドの髪に黒い瞳。
どうやら先程の会話で聞いた今は見る事が出来ない俺の容姿と同じ様だ。
どうやら今後お世話にならないといけない様なので精一杯媚を売っておかないといけないなと思っていたのだけど
目の前にいるアイシャさんの俺を見る目がどうにも冷たく感じたのだ。
冷たく感じた俺の直感は間違っていなかったと気付くのはもう少し成長してからになるとはこの時の俺は思いもしなかったのであった。
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