33:Culture Festival

修学旅行が終わったばかりだが、次は文化祭と言うイベントが待っている。そして今、クラスで出し物を何にするのかを決めている。この学校は店か劇のどちらかを選べる。うちのクラスは劇をやるらしい。それで今、何の劇をやるのか議案中。


で、結局何をやることになったかと言うと、白雪姫だそうだ。

てか、白雪姫ってキスシーン無かったか?どうするんだ。


「白雪姫ってキスシーンなかったっけ?どうするの?」

優依も俺と同じ事を考えていたようだ。

「山下さんと、志崎でいいんじゃね?」

と言ったのは、前田まえだ裕也ゆうや。それなりに仲の良いクラスメイトだ。と言うか、なんでそうなる。

「うん、いいと思う」

「いいんじゃん」

などと、見事に満場一致の様だった。

「なんで、俺たちなんだ?」

「え?だって付き合ってるんでしょ?」

「なんで知ってるんだ……?」

「見てればわかるよ笑」

「まじか……」

「ダメ?」

「まあ、別にいいけど……」

「ありがとー!と言う事で、白雪姫で決定!」


ん?これで全校生徒に俺と碧のキスを見られると言うことになるのか……?


そんなこんなで文化祭、白雪姫の練習が始まった。


さっきの話の内容からわかるように、俺が王子様で、碧が白雪姫だ。なんか、面倒くさいな……


女子たち中心に白雪姫の練習は行われ、キスする度に、フゥーって感じて、めっちゃ冷やかされる。


そして、いよいよ文化祭当日。緊張するなあ……

体育館の舞台脇に待機。励まし合っている奴や、俺と同じように緊張しまくっている奴がいる。劇だから、衣装がある訳だが、ただの学生が作ったわりにしては、やけにクオリティが高い。最近の女子ってこんなことが出来るのか。


「続きまして一年三組、白雪姫です。」

問題なく劇は始まり、いよいよ白雪姫が眠るクライマックスシーンまでやってきた。そのまま、俺は碧に唇を重ねる。

そして、そっと離す。さあ、これで生き返るはずだったんだが。

「もう一回……」

と、俺にしか聞こえないような声量で呟く。

え、まじ?もう一回やるの?仕方ないやるか。

そして、もう一度碧に唇を重ねる。

会場からは歓声が上がる。恥ずかしながら客席を見ると親父を見つけてしまった。来るなら来ると言っておけ。てか、親父泣いてんだけど。


無事?劇は終わった。賞まで取った。

劇が終わった後に碧に聞いた。

「なあ、もう一回ってなんだったんだ?」

「え、普通にもう一回して欲しかったんだもん」

可愛いなおい。

「嫌だった……?」

「嫌というか……むしろ良かったくらいだけど……」

「なら、いいじゃん」

「うーん、まあいいか。」



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