33.5:Kiss

白雪姫の劇が終わり、着替えをするために碧と一緒に空き教室に着替えを取りに行くと、手の空いているクラスメイトの女子たちが数人いた。

「ど、どうしたんだ?」

「いやーね、キスは一回でいいのに二回もしちゃってたから、どうしたものかな〜って思ってね」

「ああ〜、その事ですか……」

「なんで、二回キスしたの?」

「え、なんか碧がもう一回って言ってきたから……」

「え!?碧ちゃんの方から言ったの!?」

「う、うん。そうだけど……」

「へえ〜、意外だなあ。てっきり志崎くんが無理やり二回したのかと思ってたよ」

「俺にどう言うイメージを抱いてるんだよ」

まあ、碧ってクラスメイトの前とかだと、どちらかと言えば大人しい感じだもんなあ。かと言って俺が調子に乗ってあんな大衆の前で二回もキスをかますような奴だと思われてるのは、よく分からないが。

「まあ、それは置いといて、凄い良かったよ!」

「そうか、ありがとう」

「じゃあ、わたしたちそろそろ行くね」

「あ、ああ」

「じゃあ、ごゆっくり〜」

・・・・・・

「なんか、気遣われちゃったな」

「まあ、いいじゃん二人きりになれたんだし」

「で、二回もキスをして貰えた白雪姫様はどんなお気持ちですか?」

「すごく、嬉しかったよ」

「そうか。なんか、碧も大胆になったな」

「海斗くんの前だけだよ」

「あれって、俺の前なのか……?」

「違う?」

「体育館に来てた人、全員に見せつけてたけど」

「じゃあ、家に帰ったらまたしようね……?」

「お、おう……」

やっぱり、大胆になったな。


その後、適当に他のクラスの劇や、出店を回っていると、やたらとジロジロとみられる。多分キスのせいだろうけど。校内新聞とかで晒されないか心配だ。


碧はクラスメイトの女子たちと出店に行ってくるらしい。俺は屋上に行き、一旦休憩をしていた。するとみづきがやってきた。

「やあ」

「どうしたんだ、こんな所に」

「君がそれを言うのかい」

「こっちは休憩だ。なんか疲れた」

「そう言えば、白雪姫良かったよ」

「観てたのかよ……」

「うん上からね」

「上から?」

「わたし新聞部なんだよ。だから、カメラで撮っててね」

「え……、キスシーン撮ったりした……?」

「うん、バッチリと撮ったよ」

「マジか……」

「大体なんで、二回もキスをしたんだい?」

「碧が、もう一回してって言うから」

「君からじゃないのか」

「さっきも同じようなことを言われたが、そんな俺から行ってるように思うのか?」

「うん」

「即答かよ」

「生徒会長で、王子様か。君も大変だね」

「ホントだよ」


そんなこんなで、高校生活初の文化祭は幕を閉じた。

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