32:Happy Birthday
修学旅行最終日。少しぶらっとして昼飯を食べたら帰るだけだ。
なんだかんだで、楽しかった。小学校や、中学校の時は面倒臭いとか思ってたけど、彼女。碧とい言う存在がいたからなのだろう。そもそも、京都はやはり行きたい場所が多すぎる。
駅に集合し、周りを見渡すと、木刀を買ってる奴がいたり、カバンに入りきらない程の量のお土産を買ってる奴など、皆それぞれ楽しんでいたようだ。
そして、帰りの新幹線では、騒いでる奴もいたが疲れていたのか、大体の生徒は眠っていた。碧も眠っていた。俺の肩に頭を乗せている。可愛い。
俺は大人しく、本を読んでいた。だが、そんな事をしている内に俺も眠ってしまった。
気がつけば、新横浜を発車した所だった。
「あ、起きた?」
「ん……ああ、おはよう」
どうやら今度は俺が碧の肩に頭を乗せていた。
「おはよう」
「疲れてたの?」
「ああ、ちょっとな……」
来週は、碧の誕生日。ホテルをこっそり抜け出して、誕生日プレゼントを探すために京都を歩き回っていたら、疲れが溜まっていたようだ。
それから、あっという間に一週間が経った。誰かに誕生日プレゼントをあげるなんて事は今まで一度もしたことが無い。若干、不安だ。
「碧、ちょっといいか」
丁度、日付が変わるタイミングで渡したい。
「うん」
日付が変わり。碧の誕生日になる。
「碧、誕生日おめでとう」
そう言って差し出したのは、和風な感じの髪留めみたいな物だ。
「え、これわたしに……?」
「勿論。今日は碧の誕生日だろ」
「ありがとっ!」
と言って、抱きついてきた。と言うか飛びついてきた。
そんな、碧の頭を撫でてみる。
「わたし、プレゼントとか親にしか貰ったこと無かったから、凄く嬉しい」
「そっか、喜んでもらえたなら良かった」
「ねえ、海斗くん」
「ん?なんだ」
「お誕生日おめでとう」
と言って、碧は俺に少し大きめの袋を渡してきた。
そう、今日は碧の誕生日でもあり、俺の誕生日でもあった。
「知ってたのか?」
「うん」
袋を中身を開けてみると、ジャケットが入っていた。俺の好みどストライクの。いつの間に俺の服の好みなんて把握してたんだ?女子って凄いな。
「ありがとうな」
「どういたしまして」
「こうやって、プレゼント用意してもらうのなんか申し訳ないな」
「なに言ってるの、海斗くんだって用意してたじゃん」
「それもそうだな。」
「もう十二時回っちゃったから寝よっか」
別に変なことはしてないが、この日の夜は一緒に寝た。
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