20:Previous Life

あれから一週間が経とうとしている。が、橋本みづきからはあれっきり一切接触して来ない。こうなると逆に怖いのだが。正直、色々と気になって最近あまり眠れていない。俺以外にも俺と同じような特殊なやつがいたと知れば気になるのも当然だろう。


「あ、すみません」

よそ見して歩いていたら、女子とぶつかってしまった。

「大丈夫です、か……?」

「ああ、ありがとう」

「お前、橋本みづき……」

「やあ」

「なあ、お前あの時俺から近寄ってくるって言ったよな、どう言う事なんだ」

「実際、君は今わたしに近づいてきたんじゃないか」

「は?お前の能力かなんかでお前から近寄ってきたんじゃないのか?」

「わたしが視れるのは数秒後だよ?」

「……まあいい。一つ質問だ。俺とお前は昔に会ったことあるんだよな?」

「うん。そうだね。でもいつどこで会ったのかは君は知らない。そしてわたしも知らない」

「どう言う事だ」

「確かに昔にわたしたちは会ったことがある。でもいつどこで会ったのかは知らない。なぜなら、わたしたちが会ったのは前世だからだ」

「何を言ってるんだ……?」

「前世で君とわたしは会っている、と言ったんだ」

「前世で…?なんで、そんな事がわかる」

「君もわたしと会ったことがある気がしたんだろ?いや、確証していたんだろ?それこそが証拠だよ」

「俺とお前は、どういう関係なんだ」

「さっきも言ったが、前世で会っていると言うことしか私にも分からない」

「質問を変える。前世で会ったのに何故、俺はお前と会ったことを知っている」

「まずさ、そのお前って言うのやめてくれないかい?その呼び方嫌いなんだよ」

「じゃあ、なんて呼べばいいんだ」

「みづきでいいよ?」

「わかった。みづき、さっきの話の続きだが……」

「すまない、急用が入った。今日はここまでだ」

「は?なんだそれ」


どっかに行ってしまった。自分勝手と言うかなんと言うか


教室に戻ろうと思ったら、俺の周りにはちょっとした人集りが出来ていた。


「あれって試験で一位と二位だった、橋本さんと志崎くんだよね?」

「うん、多分」

「頭いい人たちってどんな話してるんだろうね」


そんな会話が飛び交っていた。そんな気になるもんかね。

それにしても前世で会っている。なんて急に言われてもな……

まあいい。忘れよう。明日から夏休みなんだから。

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