夜空

「星が見えたんです。夜にはまだ早いのに、いつのまにか真っ暗になっていて、心がヒュッと縮んで急いで部屋の窓を開けました。春の夜は思っていたより寒くないんですね。ひんやりとした、でもどこか暖かい香りのする夜風が、裸の冷えた足先をかすめるのです。ベランダから覗く夜空はまだほんのりと明るくて、点々と散りばめられた銀の粒がどこか暖かく感じました。見上げた私の目の先に一番光っている星がありました。その日の星は数えられるほどしか無かったので、きっといつも通りの夜空なら、埋もれてしまうものなのでしょうけど、その日ばかりはその星が、どれよりも大きく光っていました。」

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