布団


冬の陽が暖かいことを知った。


目を瞑るから明日が来る。事実そんなことはなくて、目を瞑らなくてもやがて日は登り明日は今日になるのだが、十七の私は意地でも眠りたくなかった。そうやって、明日を全身で拒んでいた。頭の上から被ったこの布団の中には、今日がめいいっぱい詰まっていて、私はそれに必死にしがみついている。今日が特別楽しかったわけでも、辛かったわけでもないのに、目の下にひどいクマを作ってでも「今日」にしがみついているのは、弱い私のままで地球がまた一周まわるという事実が恐ろしいからだ。

弱いままの私でいる限り、恐怖や不安に押しつぶされそうな朝を迎え続ける。制服に腕を通すたびに襲いかかるひどい腹痛も、外に出ると鳴り止まなくなる動悸も、全て私が逃げ出すためにご丁寧に用意されたもので、私はそれを惜しみなく使って、毎日毎日きた道をUターンする。きっと明日もまた「そんな私」だと思うから、明日が訪れなければいいと、そう願う。もうそんな情けない思いはしたくない。夜中がずっと続けばいいと、そう願ってしまう。

真っ暗な部屋で、膝を抱えてベットに座り、じっと窓の外を眺める。ここより少し都会の隣街が煌々と光っていて少し眩しい。こんな時間まで起きている人がいる。そう考えると、罪悪感と孤独から少しだけ救われた気がした。

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