1年目 4月12日 ー本-5(stamp編終了) SYTY

《曽良君、大丈夫?...でもないか。》

見るだけで分かる傷の多さ、痛さ。

『大丈夫だよ。こんぐらい』

時計の針は10時30分をさしていた。

どうやら、崖を自力で登った後気を失っていたようだ。

もうこんな時間か。『ていうか、なんでおきてるの?』

《実は...》

申し訳なさそうにいうその姿にそらは苦笑いし、察したかのようにその場を後にした。

と言いたいところだが、足が痛すぎて動かなかった。事情を聴いたそらは、事の発端である栢菜がここにいるのだ知った。

《それにこの傷も理由としてね。》

そこには止血された大きな傷があった。

『SYTY!』

《なにそれ?》

『いや、SYTYってあれ、ん?わすれたわ。

 そういや、あいつは?』

《ああ、    ね。横に寝てるじゃん。》

横には、布団に埋もれたあいつがいた。顔を確認することはできなかった。
































時計は9時を指す。

血のにじむ足を見つめ前へと動く。

「そらにも、ありがとうって言わなきゃな。死ななくてよかった。

みんな、みんな。」

こんなどうでもいいイベントに自らの命を懸けるなんて自分は間違ってる。

「でも、それは違くないか。ねぇ?先生?」

(どうかしたか。)

「どうかしたかじゃないよ。クラスメートにも、栢菜にも迷惑かけやがって。」

(・・・)

「うれしいことに気を失っていた時の言葉が全部頭に残ってる。」

(なにか問題でも?)

「誰かの死なんて豪華景品きいたことないよ?」

(俺はそんなこと言ってないぞ?)

「なら、なぜこんなイベントを行った?」

(ガキは嫌いだよ、ったく...)

「あの山には、スタンプの周りに多くの矢印があり、全てに細かなプラスチックがまかれてあった。なぜだ。」

(しるか。)

「先生がなんでそんなことするか知らんけどよ、こっちとしては栢菜に助けられたよ。」

(あっそ)


















『まさか栢菜が落としたスタンプ付近の周りの矢印には棘があったなんてな。

知らなかったとともに栢菜に感謝。』

《はは、曽良君何言ってるの。じゃあ、それでけがしたのは私だけだったってことだね!》

「...?」

回想は突然に現れる。









(くそ、あの女が落としたスタンプを持って帰るとは...

 まあ、あのSYTYの効果ももうじきそいつに現れるか。)

(先生、SYTYって何?)

(小僧だれだ?)

(旅館のばっちゃのむすこ!)

(SYTYってのはな、症候群的夜行特攻性薬っつう毒物だよ。おじさんがつくったね。)        


 



 「栢菜、急いで病院行くぞ。ここを抜け出してな」

                            本-6に続く










4月12日

この学年旅行はなんか嫌な予感しかしない。



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