第6話 「聖女様と二人きり」

ここは、暗い暗い洞窟の中。


「かなり暗くなってきたな……皆さん、そろそろ休憩にしましょうか」


「あぁそうだな! じゃあユウタとクレアは、二人で、焚き火の準備をしておいてくれ。俺とユニで周りに魔物がいないか少し見て来る」

「焚き火お願いっスね!!」


──焚き火の準備が終わると、僕らは、

しばらく、二人を待つこととなったのだが。


「「……」」


((……気、気まずい!!))


(ど、どうしよう。この前は、まだ目的があったからよかったものの、いざ、二人になると何話していいかわかんないな……でもこう言う時は、男の僕から話を振るべきだよな……)


(はあああああんんんんんんんんん。ユウタ様と二人きり……!! 何よこのラブコメ展開は!! ラブコメの神様に感謝しないとね……。幸せな時間……!

それに、こう言うところから二人の中が親密になったりして……二人は恋をする、なんて物語も聞いたことがあるわ!! どうしようラブラブになって、

あだ名をつけちゃったりして、ユウたん! クレアたん! みたいに呼び合うことになったらどうしよう! キャーラブラブ!! だ、だけどいざ二人きりとなると、ユウタ様との距離が近すぎて、それどころじゃない何も頭が回らないわ!)


「え、えっと……クレア様は、趣味とかあるんですか?」


「はい休日は、ユウタ様……そう、ユウタンの写真集めにハマっています」


「へぇ……写真集めですかー」


「「……」」


(……んんんんんん!? 今なんて言った!? 当たり前のように言うから普通に流したけど、ユウタ様って言わなかった!? しかも、その後のユウタンって何!? 誰!? つまりは、僕の写真集めてるってこと!? き、聞き間違いじゃないよな……)


(……しまったああああああああああ!!!!! わ、わ、わ、わ、私今とんでもないこと言わなかった!!? ユウタ様のことを考えすぎて、頭が真っ白になって……!! これじゃまるで本人の前で、ただの気持ち悪い性癖を暴露した女みたいじゃない!! 対して話したこともない女から、いきなり趣味はあなたの写真集めですなんて言ったら、間違いなく、ドン引きじゃない!! こ、このままでは嫌われてしまう!!!!!!!な、何とかご、誤魔化さないと!! えっと……ユウタン……ユウタン……そ、そうだ)


「そ、そうなんです……牛タンぎゅうたんの写真集めにハマっておりまして……ユ、ユウタ様は?」


「あ……なるほど……僕は、ゲームですかね……」


「あら、そうなんですね」


(ほっなんだ、牛タンか。やっぱり、聞きまちがえか……そりゃそうだよな。聖女様が僕の写真集めなんて……。こんな可愛らしいくてお淑やかな聖女が平凡な僕に対して、興味も持つことがまずありえないだろうし)


(セーーーーーーーーーーーフ!!!!!! 急に性癖を語り出した女から、

牛タンが猛烈に好きな女へと回避させたわ!! まぁ、牛タンだけの写真を集めるってのも変人な気がするけれど……でも最悪の事態は免れたわ!!)






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