第2話 「聖女様に直接に聞いてみた」

「……ガレアス様、ユニ様、バーン・ウルフの討伐お疲れ様でした」


「あぁ! クレアの回復魔法のおかげで助かったぜ! 流石は聖女様だな!」


「うちも助かったっス! 聖女様!」


「いえいえ。そ、それと……その……ユ、ユウタ様もお疲れ様でした」


(名前を呼ぶことすら緊張する……なんて愛おしいのかしら、直視できないわ……!!)


「は、はい……」


(僕だけ、後付けなの……? やっぱり嫌われてるよなぁ……)


※ ※ ※


ピンポーン。


「うーん……気になって直接クレア様のお家の前まで来てしまったけれど、やっぱり、迷惑だったかなぁ……はぁ、これ以上嫌われたくないなぁ……でもここまできたし……」


ドタバタドタバタ!!

ガッシャーン!!

ガチャッ


(な、なんか、凄い音したけど大丈夫かなぁ?)


「ど、ど、ど、どうかしましたか? ユ、ユ、ユウタ様……」


(な、な、なんでうちの家にユウタ様が!!?

驚きすぎて、家の中グッシャグッシャにしてきちゃったわ!まるで、あれみたい! え、えーと……うん、何も思いつかなかったわ! って今は、そんなことどうでもいいわね!)



「えっと……あの、クレア様に聞きたい事があって……」


(えええええええええ!!!!? ま、ま、ま、ま、ま、まさか! 私がユウタ様のこと好きだってことついにバレちゃった!!!?

ど、ど、ど、ど、どうしよう!!!

で、でもまだ決まったわけじゃ……! 落ち着きなさいクレア! 貴方は、聖女と呼ばれる人間よ、あくまでお淑やかに……)


「あの僕のこと……」


(おーまいがああああああああ!!! うそおおおおおおお!! やっぱりバレてるうううう!!!?

決定的! もう好きですか?しかないじゃない! 終わった! ついに、終わったわ!! もし、気持ち悪いので聖女をパーティを追い出しますなんて言われたらもう泣いちゃう! 聖女、子供じゃないけど泣いちゃう! むしろ子供を引かせるほど泣いちゃう!!)


「えっと……僕のこと、嫌いですか?」


「追い出すのだけは……って、え?」


「追い出す……え?」


「「え?」」



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