うちのパーティの聖女様がやたらと僕のことを避けている気がするんだが
せかけ
第1話 「聖女様は僕のことが嫌いなのかもしれない」
「なぁガレアス、僕、聖女様に嫌われてるのかなぁ……」
「……気にしすぎだと思うぞ? あの聖女様とまで呼ばれているクレアが嫌がらせなんかするわけないだろう?」
「うちもそう思うっスよ! ユウタは嫌われてないと思うっス!」
もう一人のパーティメンバーであるユニも言う。
「うーん。でも、二人とも、これまでのことを振り返ってみてよ。昨日の戦闘だってさ──」
※※※
「はぁ……はぁ……なかなか強いな!」
「なかなかやるっスね!」
──とある洞窟の中。僕たちは、厳しい戦闘を繰り広げていた。
「ガルルルルルルッ!」
大型の狼。個体名、バーン・ウルフ。
真っ赤に染まった炎を纏った狼である。
全長は、2mを越えている。
戦闘が始まってから30分が経つ。少しずつ疲労が溜まってきた。僕が受けたダメージは、ユニークスキル
「クレア様! 回復魔法をお願いします!!」
背を向けずに、後方にいるであろう聖女クレア様に声をかける。
「…………」
──しかし、反応がない。
「クレア様?」
咄嗟に、後ろを振り向く。聖女様は、視線は僕の方を向いているが、僕と目が合うと、視線をそらしてしまい、一向に魔法をかけてくれる素振りはない。
(……まさか、
「クレア! 回復魔法を頼むっス!」
「俺も頼む!」
「……はっ! いけません二人とも……
ガレアスとユニの身体が突如現れた、小さな妖精達に包まれる。
「すげぇ! 完全回復だぜ!」
「ありがとっス!!」
……魔力切れじゃないのか良かった。
あれ!? でも、僕は!? もしかして、忘れられてる!?
「ク、クレア様!? 僕にも回復魔法を!」
「……」
だ、ダメだ! 返事がない! ただの屍のようだ! それに、また険しい顔に戻っている。
ここは、一旦、ガレアスとユニに前線を任せて、僕は、その間にユニークスキルで回復するのを待とう……。パーティーを組んで、2ヶ月。
何故か僕が話しかけると上の空。度々、このような事があった。
何か僕、嫌われるようなことしたかなぁ……。
※ ※ ※
洞窟の中。
私は、必死に戦っていた。
目の前にはバーン・ウルフ。
しかし、本当に私が戦っているのは──
──自らの欲望だった。
(はぁあああああああああああああんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!
戦闘中のユウタ様可愛らしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!)
はぁはぁはぁはぁはぁ……! ぜぇぜぇ……!
パーティーを組んで2ヶ月。
ユウタ様とパーティを組んでからというもの、ユウタ様が可愛らしくて愛おしくて、仕方がない。
あの可愛らしいお目目に見つめられると、自我を失いそうになる。苦しい苦しい、けれど、愛おしい!!!!!!
実際、バーン・ウルフなんてどうでもいいわ!
それにパーティ全体のHPの管理は、見なくても、スキルで、把握してるし……。
あー、なんかユウタ様こっちみてる気がするけど気のせいよね……!?
もしかして私の好きがバレちゃった……!?
ま、まずい! まずいわっ!!?
ここは、隠し通さないと……目線を逸らしましょう。貴方にはめちゃめちゃ興味ありません風を装うのよ、クレア!
私は、ユウタ様から、目線を逸らした。
(はぁああああああんんんんんんんんんん!!!!!! でもダメ!!
気配だけで、好きになっちゃうううう!! 気配だけで、ご飯3杯いけちゃう!! でも、この気持ちがバレたらきっとユウタ様には嫌われてしまう!!
私は、絶対に好きって隠し通すんだからあああああ!!!!)
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