第5話 先走る想い

〜栞side〜


(昨日のは嘘じゃないよね?好きってやっと言ってくれた!どうしよう!恥ずかしくて近くにいたいのにいれないよぉ!)

昨日のことが頭から離れず全く眠れない栞であった。

「とりあえず!もっと好きって言われるためにメイク頑張ろう!」

(よし!まずは何をすればいいんだっけ?.....)

もちろん分かるわけが無い。なにせやったことがないのだから。名前も使い方も分からないのにやろうとしていたのである。

(まぁ分からないけどなんとかなるでしょ!あるやつどんどん使ってこ〜!)

学校に着いた途端、生徒指導の先生に手を引かれ指導室へと連れていかれた。

「なんなんだその顔は!!自分の顔に落書きするんじゃない!」

涙目になりながらも負けじと反論した。

「先生!これは落書きなんかじゃありません!化粧です!」

「化粧!?それがか?」

「んなっ!なんてこと言うんです?!頑張って化粧してきたのに、」

「いや、化粧なら文句は言わん。わざわざ時間とってすまなかったな。もう教室に戻っていいぞ。」

(いくらなんでも酷すぎでしょ!!あんなに言う必要なくない!?そんなに化粧似合ってないのかなぁ)

あまりの先生の言い様にもう落ち込むしかなかった。そしてそのまま重い足取りで教室へと向かった。その日、栞は化粧のことについてクラスメイトから聞かれはしなかったがこっちの方を見てくる目線はいつもより少し冷たかった。

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