第7話 Aちゃんの幼馴染

私にはC子という幼馴染がいる。

家が隣で物心ついた頃からずっと一緒だった。幼稚園も小学校も中学も高校もずっと一緒。同じことで笑って、同じことで泣いて、同じものを好きになった。

こんなに気の合う人間に出会えるなんて奇跡って思うくらい。

私はC子の考えていることが分かるし、C子も私の考えていることが分かるって思ってた。


そんなC子と久しぶりに飲みに行った。

最後に二人で遊んだのは大学1年の夏だから、ほぼ3年ぶりくらいだった。

「タバコ吸っていい?」

席に着くと、C子は慣れた手つきでタバコに火をつけ、煙を口から出した。

「C子タバコ吸うようになったんだ?」

私はタバコを吸う人に特に偏見はない。マナーを守っていれば個人の自由だし、タバコのにおいは好きではないけど嫌いでもない。

「うん、好きぴが吸ってて。憧れちゃった。」

そう言うと、C子はマッチングアプリで出会った好きぴの話、毎週違う男の人と遊んでる話、レンタル彼女のバイトを始めた話をマシンガンみたいに私に聞かせてくれた。


「うんうん、それでそれで?」

私は相槌を打ちながら、身を乗り出してC子の話を聞く。

その一方で、違和感、動揺、少し冷めた気持ちを持っている自分がいた。

私とC子は一心同体とすら思っていたのに、目の前にいるのは私の知らないC子がいる。

そりゃあそうだ。私とC子は違う人間。全部同じなんてあり得ない。

そんな当たり前のことなのに、なぜ私はこんな気持ちになっているんだろう。

C子の声が耳に入っているようで流れていく。

私がたぶんおかしいのかもしれない。

私が大学生になってからまともに恋愛してなくて、そういう世界に触れなさすぎだから、だからC子じゃなくて私の方がおかしいのかもしれない。

C子は私の幼馴染で大切な親友だ。


帰り道、C子は歩きながらタバコを吸って、道端にタバコを捨てた。

その瞬間、私とC子は違う人間だということをはっきり突き付けられた気がした。

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