ありきたりなこと Love
放課後。ほとんどの人は安らぎを求めて帰宅し、教室に残っているのは数名の物好き。
先攻と後攻もそのうちの1人、というわけではなくただ単に先攻は本日日直で、後攻は隣のクラスなのにそれに付き合わされているだけである。そう考えると俺は物好きなんだろうなと後攻は思ったりする。
仕事を終えた先攻は机の上にカバンを置き、そこであることに気づく。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
先生がもしこの場に居合わせていたら余裕で怒られる声量であったが、幸いにも今日は職員会議があっていた。後攻は苦笑する。
「うるさ笑」
しれっと帰ろうとする後攻。先攻の絶叫は大抵宿題やってないとか宿題やってないとか宿題やってないとかだ。
「なんで!? どうしたのぐらいふつう聞かん!?」
「どしたん」
「今日提出の数学のプリントやってない!」
「ばーかw」
あまりにも想像通りすぎる展開に若干顔が綻ぶ。
何度目かすら覚えていないほどのいつも通り。
後攻はカバンを置いて先攻の隣に腰掛けた。
「なんで?」
不思議そうにする先攻。本当に馬鹿だなと思う。
「どうせここまで残ったら最後まで残るのも変わんないだろ」
「お前のそういうところ好きだわ!!」
「きも笑」
ほんとにこいつは。こう言わないと、会話を続けられそうにない。
「『きも笑』ってなんだよ! 言っとくけど俺めちゃくちゃモテるんだからな!」
「そ」
知ってる。
「——まあ、好きな子に好かれないと俺は意味ないと思うけどな」
「ふーん。俺はかわいい子なら誰でもいいけどな」
傷んだ胸には気づかないふり。かわいい子には100パー入ってないから。
「ほら、宿題するぞ?」
「そういえばさあこないだチアの先輩がさ!」
聞きたくない。
「先生たち職会からもどってくるぞ」
「サーテボクハイイコダカラシュクダイデモスルカナ」
「いい子は今日提出の宿題を今日しねえんだよ」
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