ありきたりなこと Like

 放課後。ほとんどの人は安らぎを求めて帰宅し、教室に残っているのは数名の物好き。

 先攻と後攻もそのうちの1人、というわけではなくただ単に先攻は本日日直で、後攻は隣のクラスなのにそれに付き合わされているだけである。そう考えると後攻は物好きと言っても過言ではないのかもしれない。

 仕事を終えた先攻は机の上にカバンを置き、そこであることに気づく。

「あーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 先生がもしこの場に居合わせていたら余裕で怒られる声量であったが、幸いにも今日は職員会議があっていた。後攻は苦笑する。

「うっせ」

 しれっと帰ろうとする後攻。先攻の絶叫は大抵の場合嫌なことの前触れだと彼は知っている。

「なんで!? どうしたのぐらいふつう聞かん!?」

「ドーシタノ?笑笑」

「今日提出の数学のプリントやってない!」

「ばーかw」

 後攻、カバンを置き先攻の隣に腰掛ける。

「なんで?」

 不思議そうにする先攻。本当に馬鹿だと思う。

「どうせここまで残ったら最後まで残るのも変わんないだろ」

「お前のそういうところ好きだわ!!」

「きも笑」

「『きも笑』ってなんだよ! 言っとくけど俺めちゃくちゃモテるんだからな!」

「あっそ。俺彼女いますけど?」

「チッ」

「舌打ちしてんじゃねえよ」

「サーテボクハイイコダカラシュクダイデモスルカナ」

「いい子は今日提出の宿題を今日しねえんだよ」

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