第112話 希望の空色
風に受け、日の光に当てられながら、キラキラと発光する、美しい白銀の髪。
そして、ルビーの様な、深い
それが、いつものノアの姿。だけど、今、目の前に居る彼の姿は、明らかに違う姿をしている。
「大丈夫か?凛花。」
「……う、うん……。」
「……やっぱり、怖いか?自分でも、どんな風に見た目が変わったのか、分かっていないんだが……。」
一瞬、返事をするのに遅れたせいか、ノアがそう言って、私から目を逸らしてしまった。
「そ、そんな事ないよ!寧ろ、見惚れてたって言うか……、ノアらしい、優しくて強そうな見た目で、カッコいいよ!」
「ほ、本当か?」
驚いた顔をして、再び、こちらを見てきたノアに、私は笑顔で頷いた。
私を見つめる瞳の色は、まるで夕陽の様な、温かな橙色をしていて、見ているだけで、安心感や希望が湧いてくる。
白銀の髪の色も、毛先に近づくにつれて、橙色のグラデーションになっている。
そして両手は、指先から前腕にかけて、獣の様な、フサフサな毛が生えていて、ミルクたっぷりの、カフェオレの様な色をしている。
指先には、鋭く光る黒い爪が、毛の間から垣間見える。
両足も、靴を突き破り、同じ様な毛と爪が生えている。
さっき、ラビーが「しんかした」と言っていた。
白魔の、新しい力なのかな?良く分からないけど、今のノアからは、尋常じゃないオーラを感じる。
「ちょっと、二人共!見つめ合っている場合じゃないわよ!」
「何か来るのです!」
アリーシャとルナの声に、ハッと我に返り、同じ方向を見る。
すると、そこでは、ラビーが黒い大鎌を軽々と振り回していて、黒炎のかまいたちを、こちらへと飛ばしていた!
「はあっ!!!」
その時、ノアが一瞬で、かまいたちの目の前に移動し、右の掌で受け止め、爪と握力で握りつぶすと、
────バアンッ!!!
と、爆発を引き起こし、消滅させた。
ノアの手からは、煙が出ているものの、全くの無傷の様だった。
「……私の魔法を、素手で……。」
そう呟くラビーも、さすがに少しだけ、目を丸くしている気がした。
私も目を丸くしつつも、声を掛けようとした、その時。
「────ッ!!」
背筋がゾワッとする様な、視線を感じたので、咄嗟に振り返ると、怖い目つきをしたリアンが、かなり離れた場所から、こちらを──、ノアを見つめている。
ノアも気が付いて、リアンを見た後、私へと視線を移した。
……きっと、私の心配をして、ここを離れても良いのか、迷っているんだ。
私は意を決し、ノアに向き合い、しばらくノアの瞳を真っ直ぐ見つめた後、微笑んでみせた。
「……ごめん、もう、あんなヘマはしないから。行って、ノア。」
「……けど……。」
少し戸惑うノアに、私は、歯を見せて、ニッと笑った。
「ノアの、その姿を見たら、私も甘えていちゃいけないなって、思った。だから、もう、私は負けない!」
そう啖呵を切ると、右手で作った拳を、ノアへと向けた。
ノアは、目を丸くして、私を見つめた後、少し安心した様に、フッと息を吐いた。
そして、ニッと、いつもの笑顔を見せると、私の拳に、自身の拳をコツンと重ねた。
「頑張れよ!」
「うん!」
────パシッ!!
拳を離すと同時に、手を広げ、ハイタッチをして別れた。
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