スノーフィリルと雪の妖精
第43話 雪の妖精さんと、びっくりなお話(ルナ視点)
『ペル〜〜!』
「ありがとう、ペルーラ!」
「ありがとうなのです!」
ペルーラさんから降りた後、私達は、ペルーラさんに手を振って、お別れしたのです。
ペルーラさんは、ニコニコしながら、私達のことを見送ってくれたのです。何て親切なお魚さんなのです。
その姿が段々と見えなくなってくると、凛花さんが、名残惜しそうに、ため息を吐いたのです。
「あ〜、可愛かったね!」
「そうね!おっとりしているし。」
アリーシャさんも、ペルーラから降りた後、ずっと周りを警戒しているのですが、いつもの笑顔で、そう返事をしたのです。
アリーシャさんは、まだ子供なのに、強いのです。私も見習わないとなのです!
……ちなみに、子供だと言うと、アリーシャさんが激おこになるので、シーッなのです。
それから、しばらく歩いていると、空から白くて冷たいものが、フワリと、降ってきたのです。
「……雪だ。」
凛花さんが、そう呟きながら、雪を手の平に乗せると、不思議な事に、溶けて無くなったのです。
「お!これが雪か!味あるのか?」
「しないよ?雨と同じだもん。」
「なーんだ、そうなのか。」
ガッカリするノアさんに、アリーシャさんが呆れた様にため息を吐いて、ロキさんは苦笑いなのです。
……実は、私も知らなかったのです。アリーシャさん達には内緒なのです。
「へ、へっくしょん!」
すると、皆が同時に、大きなくしゃみをして、ぶるぶると震えだしたのです。
「ううっ……!寒い……!」
「か、考えてみれば、私達、防寒着を持っていませんでしたね……。何たる不覚……!」
……ん?寒いのです?私は、すっごく涼しいのです。
キョトンとしながら、皆を見つめていると、アリーシャさんが、恨めしそうに、私を見つめ返したのです。
「ううっ……!ルナが羨ましいわ。あったかい毛皮を纏っているんだもの!」
……ああ!そうなのです!もふもふの、お毛けのお陰で、私は寒くないのですね。皆に分けてあげられたら良いのですが……。
「な、なあ……、凛花。魔法で何とかならないのか?……ぶえっくしょん!!」
「へくちっ!……や、やってみる。」
大きな鼻水を、ぶらぶらさせているノアさんに、凛花さんは頷くと、目を閉じて集中したのです。
すると、凛花さんの体が、赤いオーラに段々と覆われ始めたのです。
凛花さんは、そのまま両手を突き出して、オーラを私達に分け与えたのです。
オーラに包まれた瞬間、涼しかった体が、ポカポカと気持ちの良い暖かさに変わったのです。まるでお日様に当たっているみたいで、何だか、眠くなってくるのです……。
ノアさん達も、震えが止まって、穏やかな顔になっていったのです。
「おお!めっちゃ、あったけーー!」
「ほんと!羽毛みたい!」
「それに、心地が良いですね。芯まで、じんわりと温まります。」
凛花さんは、ホッとすると、嬉しそうに笑ったのです。凛花さんの笑顔は、いつも可愛いのです。
「良かった!」
そして、凛花さんは、眠そうになっている私に気付き、クスッと笑いながら、優しく抱っこすると、再び歩き出したのです。
「ふふ、ルナったら。眠くなっちゃって。」
「何だか、ポカポカして、気持ちが良いのです〜。おやすみなさいなのです〜。」
「ったく。スノーフィリルは、すぐそこだぜ。……ほら、それっぽい所が見えてきたぞ。」
「え!!着いたのです!?」
ノアさんの声に、慌てて飛び起きたのです。
危ない、危ない。そうなのでした。これから、雪の妖精さんに会うのでした。
目を凝らして、その場所を見てみると、思わずビックリしたのです。
あちこちに、銀色の大きな結晶が置いてあって、その周りには、雪で出来た、カッチンコッチンのお花が咲いているのです。宝石もお花も、ピカピカ光っていて、綺麗なのです。
「綺麗……!ここが、スノーフィリルなの?」
「ええ、そうよ。……何処かに、雪の妖精がいるはずなんだけど、見当たらないわね。」
アリーシャさんの言う通りなのです。何となく、気配はするのですが……。
私は、凛花さんから、ピョンと降り立つと、胸いっぱいに息を吸い込んで、大きな声で呼び掛けてみたのです。
「おーーーーい!雪の妖精さーーーーん!!」
すると、あちこちの銀色の結晶が、パアッと輝き出したのです。
そして、結晶の中から、すり抜ける様にして、いくつもの人が出てきたのです。
私と同じ位の大きさで、全体的にモコモコした白い毛で覆われているのです。頭の上には、兎さんの様なお耳が付いていて、何人かは、可愛いリボンを身につけているのです。
お目めは、パチクリしていて、キラキラ光っているのです。
『いるズラよ〜?ようこそ、スノーフィリルへ!』
『こんなに大勢のお客さんなんて、久しぶりズラ〜!』
『んだんだ!』
何だか、聞いたことのない喋り方なのです。でも、何だかホッコリする喋り方なのです。
「どっかの方言みたい。エルラージュだと、使い方が少し違う気がするけど。」
……ほーげん?凛花さんの世界では、そういうのが、あるのですね。
『良かったら、スノーフィリル名物の、雪のアイスサンドがあるズラ!食べていくズラよ。甘くて、ひんやりしているズラよ。』
「お!何だか美味そうだな!……と、その前に、ちょっと聞きたいことがあるんだが。」
ノアさんは、そう言うと、私に視線を移したのです。
「こいつ、ルナって言うんだけど。記憶がないんだ。ルナの仲間が、何処にいるか、知らないか?」
雪の妖精さん達は、じーっと私の事を見つめたと思ったら、急に、お目めを大きく開いて、びっくりし始めたのです。
『あ!あなたは!!オリジン様の使徒の妖精ズラね!』
……オ、オリジン様の、しと?
しととは、何なのです?それに、オリジン様と、関係しているのです?
「……ど、どういうこと?」
凛花さん達も、びっくりしているのです。
『どういうことも何も、ルナさんは、オリジン様の遣いの妖精ズラよ。』
『そうズラ。しかも、オリジン様の記憶と力の一部を持つ、特別な妖精ズラよ。オラ達妖精族の中では、憧れのレジェンドズラよ。』
……………………え。
「ええええええええええ!!なのです!!」
村中に、今日一番の、私の叫び声が響き渡ったのでした。
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