第4話 「マーロン ギヤング&スタア パラダヰス②」

「異能石?」

「あぁそうだ。世界各地にあるダンジョンから採れる、貴重な石だ。」

「でも、なんでそんなことが分かったんですか?」

「文献を見て知ってはいたんだ。でも、危険な事に手を出したら碌なことにならない

 からね。その事は、僕が一番知っている。」

「…沢山、超えてきたのね。修羅場」

「まぁね。…それでね、ある時、僕はこれを店で売っていることを見つけてね。

 すぐ飛びついちゃった。」

「それ、何処で売ってました?」

「いや、忘れちゃった。」

「…そう、ですか。」

「ま、なんにせよ、楽しかったよ。またここにおいで。話をしようじゃないか。」

「ちょ、待ってくださいよ!まだ聞きたいこと沢山あるのに…」

「まぁ、また話そうっていってるだぁろ?」

「嫌よ。貴方みたいな殿方、私一番嫌いよ。」

「つれないなぁ。」


しばらく路地を歩く。

それにしても、凄い匂いだ。

これ程の匂いは、元の世界でもそう嗅いだことはない。

こう、神経を逆なでするような…。

不快な匂いだ。


「ねぇ、あれって…。」

「うん?」


よーく目を凝らす。すると、誰かがそこに座っているのが見えた。

あれは…


「谷崎さん!」

「うえ、あ…?」

「どうしたんですか?大丈夫ですか?」

「待て待て。そう畳みかけるな。」

「…え?」

「君は…敦君かい?」

「えぇ…もちろんです。」

「そっちは?」

「モンゴメリちゃんですよ。」

「久しぶりね。モンゴメリよ。」

「そうか…そうかぁ…!」


不意に、谷崎は涙を流し始めた。


「え、ちょ、なんなんですか?」

「やっとだ…やっと仲間を見つけた。」

「え?え?」

「君は、アレスタに会ったかい?」

「だ、誰ですか?」

「あぁ、そうか、ボクはもう、探偵としてのしゃべり方も忘れてしまったらしいな。

 ははっ。冗談じゃない。」


さっきから、谷崎さんのテンションがおかしい。


「ボクは、ナんの為に…この数百年間、さまよってきたんだ…。」

「は?」

数百年?

「あぁそうだ…!百年、二百年、死ねなかった!ナオミが何処にいるのか、

 死んでいるか生きているかさえ分からない!大切で、守りたくて、

 この人達と一緒に、そしてここにナオミが生きていてくれたたらどんなにいいと

 願ったかわからない!でも、死んだ!全員死んだ!ナオミも…もういないんダ。

 それでも、諦められない!信じたい!ねぇ、敦君、ボクは、どうすればいいんだ!

 教えてくれよ!」


それは、叫びだった。

誰とも分かり合えない苦痛。

魂からの叫びだった。


「多分その人にかかっているペナルティは、[不死]と[傲慢]だね。」

「あれ、さっきの…。」

「や、早い再開だったね。」

「いいから、答えなさい。」

「お嬢ちゃんは厳しいね…。女は怖いね、いつのじだいm」

「早く、教えろぉぉぉぉ!」

「ちょ、ちょっとタンマ!いや、気持ちはわかるよ?」

「お前なんかに何が分かるンだ!」

「じゃ、君、今まで僕の何倍もこの世界で生きてるわけだけど、

 僕と同じくらい情報は持ってるわけだよね?」

「…それは。」

「フン…だから君は傲慢なんだよ。」

「ッ…!アレスタぁぁぁ!」


瞬間、谷崎がアレスタに襲い掛かる。

アレスタはヒラリとよけると、話す。


「続けるね。谷崎君。君が娯楽長から受けたペナルティは、[不死]と[傲慢]だ。

 まず[不死]は、その名の通り死ななくなる物だ。二つ目の[傲慢]は[禁止]

 なんかよりよっぽど酷い。異能が使えなくなると共に、もう二度と使えなくなる。

 それに、一人につきペナルティは2つまでだと思っていたんだが、まさか三つも

 持っている人がいるなんて…。」

 

「三つって…?」


その時、何かが光った。

______________________________________

谷崎さんだぁ!(歓喜)

 

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