第3話 「マーロン ギヤング&スタア パラダヰス①」

「僕は、君たちと同じ、日本から来た異世界人だ。」

「え…?」

二人は困惑した。

それもその筈、あの時探偵社にいた人、それも調査員しかいなかった明け方。

モンゴメリが今ここにいること自体、敦は不思議だった。

「どういう事なの?つまり、あなたは私たちがこっちに来るずっと前からいたって

 ことなの?」

「んまぁ、そういう事になるね。」

「それは何故だか分かりますか?」

「分かってたら苦労しないさ。何せ僕はもう30年はここにいるからね。」

「さ、さんじゅうねん!?」

三十年。彼は一体どれだけ辛い思いをしてきたのだろうか。

「あぁそうさ。君たちよりもずううっと沢山の事を学んだよォ。」

「そうなんですね…。」

「あ。あんまりしんみりしないでよ?なんか泣けてきちゃうから。」

「は、はぁ…。」

「それと、一つ聞きたいことがあるんだけど、イイかな?」

「えぇ。もちろん。」

「いいわよ。」

「ならよかった。それじゃあ聞くけぇど、君たちはこっちの世界に来るときに、

 何か変な人に会わなかったかい?」

「い、いえ、特には…。」

「そうね…。私も、身に覚えは無いわ。」

「そうか…。クソッ、やはりあいつの嫌がらせか。」

「?」

二人には目の前の男が一体何を言ってるのかよくわからなかった。

「いいかい?落ち着いてよく聞くんだ。この世界から抜け出す方法は、一つだけ

 だけど、存在するんだ。」

「! 本当ですか?」

「あぁ。それはね…、この世界を支配している娯楽長ゲームマスターを倒すことだ。」

「誰なのよ、それ?」

「すまないが、僕もまだよく分かっていないんだ。ただ、言えることは幾つかある。

 一つ目は、あいつは僕らに対してペナルティを付けれるみたいなんだ。」

「ペナルティ?」

「そうさ。あいつは僕がこの世界に来るときに言ったんだ。」


(((君は、強すぎるな。ちょっと大人しくなってもらおっか。)))


「はぁ…。んで?そのペナルティってのは何なのよ。」

既に2人の頭はパンク寸前だった。

無理もないだろう。

この短時間に意味の分からない事を立て続けに話されたら誰だってそうなるだろう。

「僕が受けたペナルティは2つだ。

 一つ目は、異能が使えなくなる呪い、[禁止]だ。これは、君たちも受けているね。

 二つ目は、向こうの世界から来て、尚且つ異能を持っている人にしか姿が

 見えなくなる呪い、[孤独]だ。これがまた厄介でね。同じ境遇の人としか話せないから、君たちがこの世界で話した10人目だよ。」

「そ、そんなにいるんですか?」

「あぁ。みんな何処かへ行ってしまったぁけどねぇ。」

「それって、私たちの他にも何人もいるんだから、事件なんかにもなってていいはず 

 よね?なんでこの世界があることが知られていないのよ?」

「そこなんだよ。」

「そ、それだけ?」

「まぁ、確証の無いことを言っても意味ないしね。

 それと、君たちの異能、面白いね。

{白虎に変身することが出来るが、制御不能で、異能も引き裂けて、超再生。}

{異空間を作り出し、敵を未来永劫捕らえることが出来て、任意の人のみ入れる}

 …ねぇ。君たち、探偵社か、ポートマフィア辺りの構成員なんじゃない?」

「うわ。よくわかりましたね。」

「私は違うけどね。」

「じゃあ、時計塔の従騎士…それはないな。組合ギルドかな?」

「えぇキモ…。それがあなたの能力なの?」

「あぁそうさ。僕の能力は、

{異能者を見たとき、敵自身が知っている敵の能力の情報を読み取る能力}だ。

 すごいだろ?これでも僕は、さる国の諜報員なんだ。」

 なるほど。どうりて異能者慣れしていると思ったら、そういう事か、

 と敦は納得した。

「ちなみに僕には子供が二人いるから、童貞でもないよ。」

「そ、そんなこと聞いてませんよ!」

「敦もピュアねぇ…。カワイイ。」

何処か嚙み合っていない三人の会話。

「ていうか、普通にしてたからスルーしてましたけど、あなたなんで異能使ってるん

 ですか?教えてください。」

「おぉっ。鋭いねぇ!流石、探偵社の一員といったところかな。

 いいよ。教えてあげる。それはね…。この石を持っているからなんだ。」

と、目の前の男が何かを取り出した。


「これが、唯一この世界で異能を使う方法、{異能石}だよ。」


______________________________________

はい。というわけで、3話ですね。

感想などいただけましたら、一日一万回感謝の細雪を忘れません。

それでは!

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