第4話 家臣会
『家臣会』は、
この地域に古くから伝わる、〇△という方の家来衆の子孫※自称
たちによって組織されている懇親会である。
決して自慢話ではないし、誇らしいとも思ったことは無いが、
少しこの地域に伝わる話を書いていこうと思う。
鎌倉幕府の初代将軍、源頼朝が亡き後、政争に敗れた●▲。
一族皆殺しに遭うが、その孫である〇△は、何とか落ち延びることができた。
乳母の実家があるこの地方へ逃げることにしたのだ。
乳母の父親は『■部』といった。この地で土豪をしていたらしい。
これが私のご先祖にあたるそうである。
そして落ち延びる際、7人の家来を共にやってきたそうだ。
『■冨』、『■木』、『■住』、『■野』、『■澤』、『■木』、『■寺』
以上7家の家臣及び乳母の実家である『■部』1家の子孫たちによって
組織されていた。
確かにこの地域だけにこの名は異常に多かった。
血を絶やさない為なのか、親戚にもこの苗字は多かった。
小学校の時も同学年にこの苗字すべてがいたと思う。
活動といっても特にはない。
年寄連中の研修と称した慰安旅行や
外部からの講師を呼んでの定期的な講演会などである。
問題は、『家柄』
に縛られた年寄どもだった。
『あの家の子とは遊ぶな。あの家は水呑百姓の出だ。』
『今度A家とB家が結婚するらしい。めでたいことだ。良い血が入る』
『おまえも他家に恥じないよう立派になれ』
など。
お前等はいつの時代の人間だ?と言いたくなるほどの差別や選民思想。
大した血筋でもないくせに何百年も前の伝説にしがみつき、
未だに土地に縛られ、仲間内だけでよろしくやっている。
これは呪いだ。と 思った。
自分もこの地で終わりを迎えるのだ と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます