3話 ギルドの約束事&メンバー1


 総本部へと戻り、無事Sランクのライセンスを発行して貰う。そして現在はグランドマスターの部屋にいる。


「これで、お主もSランク冒険者だ。Sランクになるとワシら総本部からの緊急依頼、貴族や王族からの依頼を受ける事になる。難易度は高く機密性も高い。だがその分報酬は高額だ。励めよ。それからこれは報酬金だ」


 ドサッと報酬の入った袋が渡される。


「試験でも報酬出るのか?」

「今回は、ワイバーンの討伐というSランクの試験だからな。例外中の例外よ。それに初のSランク試験を受かった事に対する祝金でもある」

「そういう事ならありがたく頂くわ」


それじゃ、と言い彼が去った後にガンは、


「まぁ、またすぐにここに来る事になるがな」


と、独り言を呟く。



「ただいま」

 

 と言い扉を開けるとドンッとマイがぶつかってきた。


「おかえり!帰って来たって事は受かったんだよね、ね、ね、ね!?」

「落ち着けよ、ほらこれ見ろ。」


 Sランクのライセンスを見て。安心したのかフニャッとした顔になり床に座り込んでしまった。


「良かった〜、嬉しいよ〜、どうだった? 初めてのモンスター討伐は?」

「楽勝」


 こんな簡単な一言で済ませて良い事ではないのだが彼の本音であるので仕方ない。

 本当なら、突っ込むところなんだろうがマイは無事に帰った事に対する安心が優っているようだ。

 落ち着いて少ししてからマイは自分が待ってる間何をしていたかを話した。


「総本部にメンバー募集の貼り紙をしてきたんだよね。それから料理人の募集もね」

「メンバーは分かるが、料理人いるのか?」


 そうなのである。ギルド内にキッチンはあるが別にリュウガもマイのどちらも料理はできるのである。


「いるよ! これからメンバーが増えたら美味しい料理で迎えたいじゃん。それに依頼から終わった後のご褒美にもなるし!」

(なるほど、考えてるんだなマスターとしてどんなギルドにしたいかは)

「分かった、それなら今後のギルドの約束事を決めるぞ」


 それから、2人で意見を出し合い、話すこと3時間が経過した。そうして出来たギルドの約束事は、


・メンバーが受けた依頼の報酬は全部受けた本人の者。チームで受けた場合はチーム内で分配する事


・メンバー内での揉め事は基本話し合いで解決。それが無理なら素手による決闘


・ギルドマスター、サブマスターの命令は絶対ではなく拒否しても良い


 メンバーが他にいないというのもあってリュウガがサブマスターになった。そして最後の約束事として、


・このギルドをNo. 1のギルドにする事を誓う事


 これが運命の宿木の約束事にして目標である。



「よし、屋根の修理終わり」


 Sランク試験が終わって数日後、リュウガが異世界転生した初日に開けた穴はマイが魔法で修理した。


「改めて俺って異世界転生したんだな」


 と、呟く。彼の中ではモンスターより魔法の方が驚きらしい。


「そういや、グランドマスターのジジイから聞いたんだがお前天才なんだってな」 

「あ〜、それ聞いたんだ。そうだよあたしは属性全部と回復魔法と補助魔法も使える天才なんだよ!」 


 魔法使いは火、水、風、土、雷の内1つの属性魔法もしくは回復魔法、補助魔法のどれかしか使えない。そんな訳で全ての魔法を使える彼女マイ・クルルガはこの国の歴史上に5人しかいない天才なのである。

 

 そこでふと疑問に思ったのでリュウガは質問した、


「そういや、お前ランクは?」

「一応Bランクだね」

「この国で歴史上に5人しかいない天才なのにか? それに一応ってのは?」

「実はねモンスターが怖くて実戦がダメなんだよね。試験なら結果は出るんだけどね。だから実力としてはBランクのモンスターを討伐するだけの威力がある魔法を使えるから学院長がグランドマスターに紹介状出してくれて特例でBランクになってるの」

(なるほどね、それでジジイはマイの事知ってんのか)


 納得していたら、

 

 コンコンと扉をノックする音が


「どうぞ〜」


 マイが優しく返事をすると、


「初めまして。ソウ・ゲンって言います。このギルドに入れさせて下さい」


 入ってきたのは若い男の子だ。



「それじゃ、もう一度名前と職業後冒険者登録してるならランクも」

 

 マイが面接を担当する事にリュウガは目つきが悪過ぎるからと2階の部屋に移動させられた。


「ソウ・ゲンです。職業は剣士でやり使いです。登録はまだしてません」

「何でうちに来たのかな?」

「昨日貼り紙を見て、カッコいいと思ったんです。No. 1のギルドを目指そうっていうのが」

「それを踏まえて聞くね、うちのギルドはNo. 1になる事が目標だよ、君にその覚悟はある?」


 最初の優しそうな雰囲気とは違った真剣な眼差しがソウを射抜く

 怯んだもののソウは、


「今は弱くても、何十年かかっても、Sランク冒険者になってこのギルドをNo. 1のギルドにします!」


 その答えに、マイは微笑み、


「ようこそ、運命の宿木へ。ソウがここを選んでくれた事に心から感謝を」

「ありがとうございます」


 感動のあまり泣いてしまっている。余程嬉しかったのだろう。


「それじゃ、自己紹介するね。私がギルドマスターのマイ・クルルガ。ランクBの魔法使い。」

「リュウガ・レン。サブマスターでランクはSの剣士だ。よろしく」


 いきなり現れたリュウガに驚く2人。


「あれ? 呼んでないのに随分タイミング良いね。覗き見してた?」

「いや、歓迎するってのが聞こえたから降りてきたら自己紹介してっから、じゃあ俺もしとくかと思ってな」


 そんな、リュウガにソウは、


「Sランク⁈ だってSランクは総本部とフリーにいるのと後は暗闇の一等星だけじゃ、、」

「昨日あったSランク試験受かったばっかの新Sランク冒険者だから知らないのはしょうがないよ」


 ソウの疑問にマイが答えるが驚きで口をあんぐり開けて固まってしまっている。


 ソウが落ち着いたところで、マイは昨日決めたギルドの約束事を話したら報酬の話で驚いた。まさかの報酬全どりに。他のギルドなら2割はギルドの財産とするのだがここではギルドマスターとサブマスターの報酬がそのままギルドの財産らしい。何故かとギルマスに聞けば、


「ここがわたしの家だから当然だよ」


 と言い、サブマスに聞けば、


「飯と酒と寝床があれば金はいらねぇ」


 との事だ。


 その夜は、新しいメンバーであるソウの歓迎会ということで街のレストランで宴会をした。お金は丁度ワイバーン討伐の報酬があったのでそれを使った。新メンバー歓迎のためにお金は出し惜しみしなかった。



「リュウガ・レン様。Sランク冒険者招集です。総本部へご同行願います」


 早朝から総本部の遣いの訪問に、


(Sランク冒険者招集か、他の奴らはどんな連中かね)


 グランドマスター以外のSランク冒険者を品定めする良い機会だとうっすら笑みを浮かべリュウガは総本部へと足を運んだ。


 



 





 

 


 

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