44. 意地悪な北斗くん
「みぃ、起きて。」
「ん、」
「おはよう」
「おはよ」
起きて昨日のことを思い出す。ほくの腕の中で泣きながら寝てしまったみたい。
「美蘭、昨日どんな映像見たの?」
「…ほくが、プールで溺れちゃったの。」
「え、そうなの?」
「…うん。ほく水泳得意なのに。」
「そっか。じゃあ俺、水泳の授業休むわ。」
「うん。美蘭も休む。」
「美蘭も?」
「うん。ずっと一緒にいないと怖い。」
「分かった。じゃあ、一緒に休もっか。」
「うん。」
「学校は行く?」
「どうしよう。行かないほうがいいのかな。」
「んー、水泳の授業受けなければ大丈夫じゃない?」
「そうかな?」
「うん、見たのは授業中の映像でしょ?」
「うん。」
「じゃあ、体育だけ休もう。テスト近いし、他の授業はでよっか。」
「うん…。」
「大丈夫だよ。」
「うん。」
学校に行って体育の授業だけ休むことに。
「美蘭、おはよー!」
「結衣、おはよう。ちょっといい?」
「あ、うん。どうした?」
結衣と空き教室に行きほくの話をする。
「そっか。美蘭、話してくれてありがとね。」
「うん。今まで秘密にしててごめんね。」
「こちらこそ言いにくいのに言わせてごめんね。じゃあ、水泳の授業はお休みするんだよね?」
「うん。2人で保健室にいようかなって思ってる。」
「そっか。分かった。なんかあったらすぐ言ってね。」
「うん。ありがとう。」
結衣はすごく心配していた。でも結衣にほくのことを話して少しだけ気が楽になった気がした。
「はい、じゃあ今日はここで終わります。」
『ありがとうございました』
3限が終わった。次は、水泳の授業がある。
「美蘭、行ってくるね。」
「うん。何かあったらすぐ言うね。」
結衣が着替えのため更衣室へ向かった。
「美蘭、行こっか。」
「うん。」
ほくと一緒に保健室へ行く。
「あ、美蘭ちゃんと北斗くん。体調悪い?」
保健の先生に事情を話す。
「そうなのね。私、職員室行くからゆっくり休んでいってね。」
「ありがとうございます。」
ベッドに2人で寝転がる。
「ほく、眠い?」
ベッドに寝転がるとほくがすごく眠そうにしてる。
「うん、ちょっと眠い。」
「ほく、もしかして昨日寝てない?」
「んー、あんま寝てないかも。」
「寝れなかった?」
「美蘭が途中で起きちゃったら怖い思いするかなって思って。美蘭を起こす前に少し寝ちゃったけど。」
「そうなの!?ごめんね。」
「大丈夫だよ。俺が起きたくて起きてたんだから。」
「ありがとう。」
全然寝てなかったんだ…。今、少しでも寝れたらいいな。
「ほく、寝ていいよ。」
「いや、美蘭怖いでしょ。」
「大丈夫だよ。美蘭もほくが寝た後寝る。」
「寝れないでしょ。先に寝かせてあげるから。」
「ほく寝てよ。」
「美蘭が寝たら俺も寝るから早く寝て。」
「…はい。」
ほくがとんとんしてくれる。本当に優しい。
「北斗、美蘭!大丈夫?」
結衣の声で目が覚めた。
「…結衣?」
「うん、もう授業終わったよ。」
「よかった…。」
「北斗は大丈夫そう?」
横を見てみると、まだほくは寝てるみたい。
「うん。大丈夫だよ。」
「よかった。美蘭動ける?笑」
「動けない。笑」
ほくに抱きしめられていて全然動けない。
「今日保健室でお昼食べる?」
「そうしようかな。」
「じゃあ、美蘭と北斗のお弁当持ってくるよ。」
「ごめん、ありがとう!」
結衣と寛太でお弁当を持ちに行ってくれた。
「ほく、起きれる?」
「んー、」
まだ眠いみたい。私の胸のあたりに顔を埋めて、うなり声を出している。
「まだ寝る。」
「寝るの?お弁当は?今、結衣と寛太が、」
「寝る。美蘭ちゃんも寝よ?」
「えー、お弁当食べようよ。」
「美蘭ちゃん食べる。」
「ねぇ、痛い!」
「美蘭どうした!?」
結衣と寛太が戻ってきてしまった。私が痛いって叫んでるのに驚いて、結衣がベッドのカーテンを勢いよく開けた。
「あ、ごめん。」
ほくに鎖骨を噛まれている時に、カーテンが開けられた。
私がベッドに押し倒されて、ほくがその上に乗っていたので、当然結衣は勘違い。
「結衣、違う!待って!」
「え?これもう完全にしようとしてたよね?」
「してない、してない!」
「え?そうなの?」
やっぱり、勘違いされてる。
「ほくがお腹すいたからふざけて私を食べようとしてきたの。そしたら痛過ぎて叫んだの。何もないよ。笑」
「私たちが来なかったらもうしてたでしょ。笑」
「うん。してたね。」
「ほく!!しないから!!」
「北斗、学校ですんなよ。」
「まだしてない。」
「ねぇ!ほく!しないから!絶対。」
「えぇ。学校とか絶対興奮するんだけど。」
「ほくもう黙って…。」
ほくふざけすぎ。
「もう、美蘭が可哀想だからお弁当食べよ。笑」
「うん、そうしよ。」
「私たちもお弁当持ってきたから、ここで食べちゃおう。」
「うん!みんなで食べよー!」
保健室でみんなでご飯を食べることに。
「美蘭、服直して。笑」
「あ、ごめん。」
結衣に言われ気づく。ワイシャツのボタンが外れていた。ほくが噛む時にボタン外したんだ…。
「もう、ほく噛み癖治して。」
「美蘭ちゃん美味そうだから食べちゃった。」
「痛いんだからね?」
「すいません。」
「北斗が尻に敷かれてる。笑」
みんなでお弁当を食べ始める。とりあえず水泳の授業が無事に終わってよかった。
「教室戻ろうー!」
「うん!」
お昼ご飯を食べ終わり教室に戻る。
「美蘭、帰ろ。」
「うん。」
午後の授業も受け終わり、家に帰る。
「ただいまー!」
「おかえり。北斗無事でよかった…。」
「実紅さんありがとう。」
学校から帰るまで正直すごく不安だった。無事に帰れてよかった。
「美蘭、おいで。」
「うん。」
私の部屋に行くと、ベッドの上にいるほくに呼ばれる。
「美蘭、ありがとう。」
「うん。よかった。」
「怖かったよね。ごめんね。」
「怖かった…。」
ほくに抱きしめられると涙が止まらなくなる。
「頑張ったね。ありがとう。」
「うん。」
「俺、これからもずっと美蘭に辛い思いさせちゃうかもしれない。」
「うん。美蘭もほくに辛い思いさせちゃうと思う。でも、ずっと一緒にいてね。」
「いいの?俺で。」
「うん。ほくしか無理。」
「それは嬉しい。笑」
少し落ち着いてきた。
「美蘭ちゃーん、お勉強しようか。」
「やだ。」
「えー、しようよ。」
「やだ。」
「マジで赤点取らないか心配なんだけど。笑」
「取らないもん。」
「勉強しよう。」
「やだ。今日はほくとずっとぎゅーする。」
「分かったよ。」
「本当?やったー!」
「ぎゅーするけど勉強はしようね?」
「…いじわる。」
結局勉強させられる。
「ねぇ、これじゃあ文字書けない。」
「じゃあ、ぎゅーするのやめる?」
「勉強やめるの!」
「ダメ。マジでテスト近いから。」
「やだ。」
「じゃあ、みぃが普通に座って。俺、後ろからハグしてあげるから。」
そう言って、後ろからハグをしてくる。
「はい、じゃあ、ここ解いて。」
「ねぇ、ほく、くすぐったい。」
ほくが耳元でしゃべるからくすぐったい。
「早く解いてください。」
「ねぇ!解くから。」
ほくが耳にキスしてくる。リップ音が鮮明に聞こえてすごく恥ずかしい。
「ねぇ、痛い!!」
「ん?」
「耳噛んだでしょ。」
「噛んだ。」
「もう、本当に噛み癖治して。」
「無理。」
「じゃあ、もっと弱く噛んで。痛いから。」
「こう?」
「んっ、ねぇ、くすぐったい。」
「エロ。」
「ねぇっ、んっ」
もはや噛んでない。舐めてくる。
「ん、もっ、やめて。」
「ごめん。笑」
ほくが辞めてくれた。
「みぃ、顔赤いね?」
「うるさい。」
「辞められて寂しかった?」
「さ、寂しくない。」
「本当かな?笑」
「本当だもん。」
「じゃあ、もうちゅーしなくていい?」
「よくない!ちゅーする。」
「えー、でも、俺エッチしたくなっちゃうからなぁ。」
「いいよ。」
「えー、でも、勉強しないと。」
「後ですればいいでしょ。」
「いや、でも、そう言ってやんなくなっちゃうから。やっぱ今日はエッチするのやめよ。」
「やだ。」
「また今度ね。」
「やだ。今日がいい。」
「今日エッチしたいの?」
「うん。」
「どうして?」
「…だって昨日もしてないし。」
「気持ちよくなりたいの?勉強したくないの?どっち?」
「言わない。」
「じゃあ、勉強しようか。」
「やだ。」
「ん、じゃあ何?」
「き…ち…く……たい」
「何?聞こえない。」
「気持ち…よく…なりたい…。」
「そっか。美蘭ちゃん、変態だね?笑」
「いじわる。」
ほく、本当にいじわる…。顔が熱い。
「しよっか。」
「うん。」
「美蘭ちゃんからちゅーして。深いやつ。」
「うん。」
ほくにキスをする。
「はぁ。やば。可愛い。」
「恥ずかしい。」
「可愛かったね。美蘭ちゃん気持ちくなりたいんだもんね?」
「ほくやだ。」
「ごめんごめん。笑」
やっぱりいじわる。
仕返しで、またほくにキスをする。
「んっ、ねえっ、まって。」
「んー?」
「やばいって。何今の。」
「え?ちゅーしただけだけど。」
「まじで気持ちいい。」
「そー?もう一回する?」
「うん。」
「ほくも気持ちくなりたいんだ?笑」
「…。」
「かわい。」
ほくにキスする。
「んっ、はぁっ、」
「声抑えて。」
「むっ、り、」
ほく、可愛い。
「はぁ。マジでやば。みぃキス上手い。」
「ありがとう。」
「なんか、形勢逆転されてる気がする…。」
「可愛いね北斗くん?」
「…はい。」
…
「みぃ、俺水もってくる!」
「はーい。ありがとう。」
ほくが水を持ってきてくれる。
「痛くない?」
「うん。大丈夫だよ。」
「よかった。みぃ、ぎゅーしたい。」
「ん、いいよ。」
ベッドの上でほくに跨り、ぎゅーをする。
「ほく、いい匂い。」
「香水?」
「うん。」
「みぃは赤ちゃんの匂いする。今日香水つけてないの?」
「うん。今日、つけるの忘れちゃった。」
「そうなんだ。つけてなくてもいい匂いする。」
「そうかなぁ?」
「うん。やばい、俺寝そう。」
「寝ていいよ。」
「ん…おきる…」
「寝そうじゃん。笑」
全然寝てないからすごく眠いんだろうな。
このままの体制だとほくの身体が痛くなりそうだから、ベッドの上に寝かせる。
「重い…」
なんとか、寝かせることができた。
「勉強しないとなぁ…。」
ほくが寝てる間に勉強を進めよう。
「わぁっ」
ベッドから出ようとすると腕を引っ張られて、ベッドに引き戻される。
「ほく…」
これじゃあ、勉強できない。
ほくにバックハグされている。
「よいしょ。」
頑張ってほくの腕から抜け出した。ほくの手が寂しそうなので、ぬいぐるみをほくの腕の中に置く。
「ほく、可愛い。笑」
人形を抱きしめてて可愛い。
やっと勉強が始められる。
「ん、」
「ほく起きた?」
しばらく勉強をしているとほくが起きたみたい。
「みぃ、なにこれ。」
「ぬいぐるみ。」
「俺みぃちゃん抱きしめてたはずなんだけど…。」
「勉強しようと思って、くまさんに変えといた。」
「ねぇ。笑 くまとみぃじゃ起きた時の幸福度が違うんだけど!」
「くまさんでよかった?」
「違うわ。笑 みぃが良かったんですけど。」
「でも、ふわふわしてて気持ちいでしょ?」
「みぃのおっぱいの方が断然気持ちいいね。」
「うるさ。くまさん、撫でてぎゅーってしてたよ?」
「ねぇ、嘘でしょ?」
「本当。笑」
「俺、みぃ以外とはぎゅーしないって決めてたのに…。」
「ほく、ひどーい」
「棒読みやめて。笑」
くまさんをぎゅーしてたことにショックを受けてる。笑
「はやく、みぃきて。」
「はいはい。」
「ん。」
「ねぇ!くまさん投げないで!」
「ごめんごめん。笑」
くまさんが床に放り投げられた…。
「んー、やっぱみぃのほうが気持ちいい。」
「はいはい。」
私の胸に顔を埋めてくる…。
「ほく、可愛い。」
「かわいくない。」
頭を撫でてあげると嬉しそう。
「ほく、そろそろご飯行こ。」
「んー。」
「聞いてる?」
「んー。」
全然、聞いてない。身体から離れようとしてくれない。
「もう、いくよ。」
「んー、分かった。」
やっと、立ち上がって動いてくれた。
「みぃ、」
私の顔をほくの手で挟んで軽くキスしてくれた。
「かわい。」
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