体育祭篇
ページ6 青春謳歌
GWも終わり、いよいよ始まる中間テストに向けて勉強に励んでいる。流石にテスト二週間前ともなると教室の空気が違ってくる。僕も負けてられないや。
ちなみに謙介がGWをどう過ごしたかというと家族で東京を散策したり、みんなで紗倉の家にお泊りに行ったりと結構忙しかった。この話はまたいつかお話するとします。
「ミッキー、どこか分かんないところ無い?。」
昼休みに入ると瑞帆が謙介を心配して聞いてきた。
「分かんないところがありすぎて逆に何が分かんないかが分かんなくなりそう。」
「まぁ無理もないよ。転校してきてすぐにテストってなかなか大変だからな。」
少し不安になった謙介は道義に聞いてみた。
「なぁ、道義。ここの学園のテストって難しい?。」
その質問に対して道義が冷静に答える。
「まぁな、そこら辺の学校よりは十倍くらい難しいんじゃないのか。」
城ヶ峰学園は点数によって評定が決まる。100点〜95点までが評定A判定、94点〜90点までが評定B判定、89点〜85点までが評定C判定、84点〜80点までが評定D判定、79点以下は赤点とされる。つまり最低でも80点は取らないといけないのだ。そんな学校聞いたことがないよ。一般的には80点と言えば高い点数の分類に入るのではないか。謙介は勉強は中の上くらいだけど全教科80点以上はとったことがない。いや、ものすごい頑張ればイケるかもしれないけど。
「教科は全部で15教科、一日3教科の一週間行われる。」
「そんなに教科があるの?。」
「まぁ国内屈指の進学校だからね、うちの学園は。」
そもそもなぜ謙介がこの学園に転校してきたか不思議に思う方もいるだろう。他にも普通の学校があったでしょ と思うそこのあなた。理由をお教えしましょう。
理由は二つあって一つは家から一番近かったから。もう一つは城ヶ峰学園の学園長と僕の父が昔からの親友であったという縁もあり、ここに転校してきたという訳だ。謙介はこの時思った、入る学校を間違えたと。もっと普通の学校もあったのに父の口車に乗せられたことと家から近いという理由でこの学園を選んだのは失敗だった。もっと焦らずじっくり考えるべきだった。しかし、後悔してももう遅く転校してしまった以上やるしか無い。
「みんなはさ、どんな風に勉強してるの?。」
謙介は興味本意で彼らに聞いてみた。
「特にこれと言って無いかな。勉強って言ってもテスト直前にするくらいだし。」
「えっ、テスト直前?。直前にしか勉強しないの?。」
謙介はとても驚いた。というか見栄を張って嘘をついていると思った。
「あぁ、だいたいみんなそうだと思うけど。」
謙介の驚いた顔そっちのけで涼しい顔で語る道義。
「私もテスト前にちょっと勉強するくらい。」
「俺はテスト五分前に教科書をチラっと見るだけだ。」
「私もテスト当日に軽めにするくらいです。」
謙介達の話を聞いていた瑞帆、充、紗倉も加わってきたのだが、みんなすごすぎるだろ。当日に勉強して80点以上取れる訳?。しかも充に至っては教科書ペラペラってもう異次元のすごさ。
「みんなってさ、家で勉強しないの?。」
「そう言われてみれば一度もしたこと無いかも。」
その一言が衝撃だった。家で一度も勉強をしたことがない人なんているの?。いや、実際に目の前にいる。周りのみんなはそれが当たり前じゃんって顔でいるし、もう頭が追いついていかない。
「まぁ、普通に授業受けてたら大概の事は分かるっしょ。」
『授業受けても分かんねーから家でも勉強すんだよ。』
「とにかく分かんない所があれば何でも教えるから集中、集中。」
そう言われ謙介はまた勉強を始める。とにかく80点取らないことには始まんない。謙介はその日まだ慣れないテストに立ち向かうために誓いを立てたのであった。
―三日後―
LHR(Long Home Room)の時間がやってきた。今日はなにをするのだろう。
「もうすぐ体育祭が迫ってきている。そこで今日のLHRは体育祭の種目決めをしたいと思う。」
クラス中が歓喜の声で包まれた。体育祭と言えば学校三大行事の一つであり、特に三年生は最後の体育祭だから気合の入り方も違う。
「ここからは学級委員長の充に進行を任せる。」
そう言うと充が席を立ち、教卓の前に立つ。それと同時に道義と瑞帆も前に出てチョークを持った。言い忘れていたが充は学級委員長、道義と瑞帆は学級副委員長である。
「ではみんな、二人が黒板に各種目を書いてくれている間に何の種目に出たいか考えてくれ。」
謙介はもう決まっている、目立たない団体競技に限る。謙介は足が速いわけでは無いのでできればフィールドでできるものが良い。
「よし、書き終わったようなのでこれから種目決めを始めたいと思う。」
この後謙介、ちょっとやばいことになります。
―To Be Continues―
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