第14話 Hちゃん
桜子を匿ってもらう場所。私より7歳年上のHちゃんの家。
Hちゃんは、私が16歳で施設にいた頃の先輩。スキンヘッドでがたいもよく、厳つい。年上なんだけれど、何故か“Hちゃん”“エレジーちゃん”と、ちゃん付けで呼びあう間柄。よく一緒に飲みに行ったりと、可愛がってもらった。
ある時、カウンターで二人並んで飲んでいた時。
明らかにHちゃんが、私ではなく私の一人向こうの人間を見ていた。すると、急にHちゃんが動いた。
「スパーーーン!」
Hちゃんが私の隣の男の頭を叩いた。いきなり叩かれた男は驚いたけれど、Hちゃんの風貌を見て何も言えなかった。
「Hちゃん、やめてよー!」
飲みに行くと、いつもこんな感じ。そんな訳のわからない凶暴な一面を持つHちゃん。
でも、何故か私には優しかった。
Hちゃんとこだったら、仮にAがヤクザを使って桜子を探しに来ても大丈夫だろう。Hちゃんは結婚していて、桜子の事情を相談したら二つ返事でOKしてくれた。
私の勤め先は、兵庫県で仕事が終わると、毎日、大阪のHちゃんの家に通った。
桜子も、Hちゃん夫婦や私の優しさに、段々と元の元気な桜子に戻っていった。
やっと平穏な日々を過ごせる安堵。
ん?ポリポリポリ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます